プロノイア・グループ株式会社 代表取締役
四六判/336ページ/1700円+税/東洋経済新報社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 「心理的安全性」は、人事界隈で近年最も流行した言葉の一つといっても過言ではないだろう。ただ、大まかな定義こそは知っていても、「心理的安全性が高い職場とは具体的にはどのようなものか」「向上のための実践方法は」といった部分まで踏み込めていない人も少なくないと思われる。本書は、「心理的安全性はあくまで組織の生産性を高めるための手段のひとつであり、ゴールではない」とした上で、マネジャーがチームの心理的安全性を高めてパフォーマンスを向上し、ビジネスの成果につなげる考え方や手法を紹介している。
■ この言葉が脚光を浴びるきっかけとなったグーグルで人材開発等に携わってきた著者は、心理的安全性を「メンバーがネガティブなプレッシャーを受けずに自分らしくいられる状態」「お互いに高め合える関係を持って、建設的な意見の対立が奨励されること」と解釈している。こうした職場環境を実現するためには、マネジャーが自身の心理的安全性を確保し、周りに対して心理的安全性を意識した行動を取ることが大切だという。そして、マネジャーはまず自分が大切にしている価値観を言語化し、メンバーに自己開示することで、信頼関係を構築していく必要があると指摘する。こうすることで、メンバーからの自己開示が促されるとともにチームの信頼関係が高まり、結果として心理的安全性が向上していく。
■ 本書は、心理的安全性の考え方の紹介にとどまらず、日常会話やメンタルサポート、成長支援、目標設定、フィードバック等の各場面に応じたマネジャーが取るべきコミュニケーションの実践例が具体的に示されている。こうした例を早速チーム内に落とし込んで、心理的安全性を高めたいマネジャーが読んで参考になることはもちろん、人事労務部門に初めて配属された担当者が心理的安全性を1から学習する「教科書」としてもオススメの一冊だ。
内容紹介 「心理的安全性=楽しくやさしい職場」ではない 本来の心理的安全性とは、「対人関係においてリスクのある行動を取っても、『このチームなら馬鹿にされたり罰せられたりしない』と信じられる状態」「メンバーがネガティブなプレッシャーを受けずに自分らしくいられる状態」「お互いに高め合える関係を持って、建設的な意見の対立が奨励されること」です。 本書では、改めて、成果を生む強いチームの「心理的安全性」を定義し、組織を理想状態にするためには何が必要なのか、「理解編」「マインドセット編」「実践編」の3つのPARTで分かりやすい事例と共に解説していきます。 |