スキルティ株式会社 代表取締役社長
四六判/230ページ/1780円+税/クロスメディア・パブリッシング
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 著者は20年以上にわたってITインフラを支える仕事に携わってきた。人材不足が常態化しているIT業界において、プレイングマネジャー、経営者としてマネジメントの問題に向き合う中で、「人」に依存しすぎない組織の在り方の重要性に気づき、組織の成長を最大化するマネジメント手法「スキルマネジメント」を開発した。本書は、スキルマネジメントが求められる背景とその手法を解説し、組織改善を目指すリーダーやマネジャー向けに、実行可能な再現性のある施策や考え方のヒントを凝縮して紹介している。
■ スキルマネジメントは、個々の社員が自己完結でスキルを管理し、仕組みでPDCAを推進するマネジメント手法のことだ。「人」と「システム」による分業スタイルが特徴である。第1章ではマネジメントを「仕組み志向」で考えることの意義を説く。昨今注目される従業員エンゲージメントの視点から、システムにマネジメントを肩代わりさせるメリットが見えてくる。第2章では人材育成における非効率性などの課題を取り上げ、能力を「見える化」するスキルマネジメントを解説する。実際に使用するスキルボックスやキャリアマップが示されており、具体的な運用を想像しやすい。
■ 後半の第3章、第4章では、スキルマネジメントが人事評価制度とミッション・ビジョン・バリューの浸透を図る上で機能する過程を解説する。著者は、自社オリジナルのスキルマップが作成できれば、企業にとっての無形資産になると述べる。雑多な業務からマネジャーを解放し、より高度な能力開発や人材育成に取り組むためには、逆説的なようだが人材育成をシステムに任せるべき――という著者の論は必見だ。限られたリソースと時間の中でマネジメントを行うことに悩みを抱えるリーダーにとって、示唆に富む一冊である。
内容紹介 リスキリング時代、「人」に頼る社員育成とマネジメントから脱却するには。 組織改善・組織改革を志す経営者や管理職、現場マネジャーに向けて、再現性のある施策や考え方のヒントを紹介する。 |