社会保険労務士、弁護士
A5判/168ページ/2200円+税/日本法令
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 日本の労働力人口は、2065年の時点で、2021年と比較して4割ほど減少するとの予測がある。このような状況の中で企業が労働力を確保するには、従業員にとって働きやすい環境を整備することが急務であるといえる。そこで本書が提案するのは、「パーソナル雇用制度」である。これは、集団的・画一的に労務管理するこれまでの雇用制度と異なり、従業員が会社と個別に労働契約を締結することで、従業員のライフスタイルに合わせた働き方を実現することを目的とした、個人契約型の雇用制度だ。
■ 本書は第1章と第2章で、多様な働き方が求められる背景と、それを実現できる雇用制度について多面的に解説した後、第3章では「パーソナル雇用制度」の特徴やメリットについて説明している。その中で、「一人ひとりが別々の仕事をしている状況が多い」といった中小企業の労務実態は、パーソナル雇用制度の導入に適していることを明らかにする。そして、第4章ではパーソナル雇用制度を導入する手順について、「就業規則の整備」「社員説明会の開催」など五つのステップに分けて具体的に解説していく。
■ 最終章となる第5章は最も紙幅を割いており、就業規則や雇用契約書の作成方法について書式を掲載しながら詳細に示している。新たな制度の導入にハードルの高さを感じる人事担当者にとっては非常に心強いものとなるだろう。社労士と弁護士という専門知識を持った著者が、豊富な知見を盛り込んだ本書を活用して、従業員がより働きやすくなる制度を実現するための参考にしていただきたい。
内容紹介 労務管理ツールの普及により多様で柔軟な働き方ができる今、企業の採用戦略としては積極的に限定社員を活用し、優秀な人材の確保・定着を図るべきです。 本書が提案する個人契約型社員制度では、対象社員のベースとなる労働条件として就業規則を適用しつつ、希望する労働条件については会社と交渉のうえ、個別の雇用契約書で就業規則と異なる内容を定め、本人が希望する働き方を実現します。 導入のための制度設計から、就業規則の策定および個別の雇用契約書作成をどのように行えばよいのか、具体的に例を示しながら解説。 |