厚生労働省は30日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会を開き、会社員らが入る厚生年金に関し、現在は対象外となっている短時間労働者や個人事業所の従業員が加入できるようにする方策を議論した。厚生年金に加入すれば、将来の年金額が上がり、制度の支え手も増える。今後も検討を続け、2025年通常国会への関連法改正案の提出を目指す。
フルタイムで働く人は原則、厚生年金に入る義務がある。パートら短時間労働者に関しては要件があり(1)勤務先の従業員が101人以上(2)週の労働時間が20時間以上(3)月給8万8千円以上-などを満たす必要がある。
部会では今後、従業員数の要件を撤廃するかどうかが焦点となる。
また厚生年金は、法人事業所全てに加入義務がある一方、個人事業所は従業員5人以上の金融・保険、弁護士・公認会計士といった17業種だけ加入義務がある。これを宿泊や飲食などの業種に拡大することも検討する。
委員からは「同じ働き方なのに、従業員数で差があるのは不公平だ」などとして、加入拡大に賛同する意見が相次いだ。一方、保険料は労使折半のため「要件の拙速な撤廃による企業経営への悪影響を避ける必要がある」との声も出た。
このほか部会で今後議論を深める検討項目を確認。国民年金保険料の納付期間を現行の20歳以上60歳未満の40年間から、65歳になるまでの45年間にすることや、パートらが働く時間を抑制する「年収の壁」解消などを挙げた。
(共同通信社)