健康保険証を廃止してマイナンバーカードに統一するマイナンバー法など改正関連法が2日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。保険証廃止はカード取得の事実上義務化との指摘が根強く、他人情報とのひも付けなどトラブルが続いているが、政府は来年秋の実施を目指す。ほかにも情報流出につながるミスが相次ぐ中、マイナンバーを利用できる行政事務も広げる。
保険証廃止後はマイナカードに保険証機能を持たせたマイナ保険証で受診する。マイナ保険証がない人も保険診療を受けられるように資格確認書を発行するが、有効期間1年の更新制とする。患者の窓口負担もマイナ保険証より重くする。
社会保障と税、災害対策に限られているマイナンバーの利用範囲は、行政書士や美容師といった国家資格の手続きや自動車登録などに拡大する。また法律で定めたマイナンバーの用途に「準ずる事務」なら法改正せず政省令で利用可能とする。
給付金事務の迅速化のため、行政機関が把握済みの住民の口座を公金受取口座として登録する制度も創設する。不同意の意思表示がなければ、登録に同意したとみなす。
マイナカードを巡っては、マイナ保険証に他人の情報をひも付けたり、公金受取口座で別人口座を登録したりする事例が相次いだ。利用事務の拡大は情報流出のリスクを高める恐れがある。住民票の写しなどをコンビニで受け取るサービスでの別人の証明書交付や、カード普及策のマイナポイントを他人に付与する事案も起きた。
改正法ではほかにカード普及促進策として、取得に必要な本人確認を市区町村窓口だけでなく郵便局でも可能にする。顔つきの変化が早い1歳未満は写真なしで申請できる規定も設けた。海外に転居した人が現地の在外公館でカードの交付を受けられるようにもする。
(共同通信社)