株式会社インプリメンティクス 代表取締役
A5判/288ページ/2200円+税/翔泳社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 政府は2022年をスタートアップ創出元年として位置づけ、「スタートアップ育成5か年計画」を策定した。ここでは、①スタートアップ創出に向けた人材・ネットワークの構築、②スタートアップのための資金供給の強化と出口戦略の多様化、③オープンイノベーションの推進――の三本柱の取り組みを一体として推進していくこととしており、スタートアップを巡る状況はますます活況を呈することが見込まれる。本書は、組織・人事コンサルタントとしてさまざまな組織の人事制度設計を手掛けた筆者が、スタートアップに特化した人事制度の設計・運用について、実務に即しながら指南するものである。
■ 本書では「スタートアップ」を“これまでの社会的な常識や慣習をより良い方向へ導くこと、または社会に対して新たな常識をもたらすことの二つを理念とする急成長企業”と定義する。その上で、企業規模として約1000名まで耐えられる人事制度を想定し、概略、設計・導入プロジェクトの進め方、等級・評価・報酬制度の内容、導入・運用ノウハウまで網羅的に解説している。筆者の豊富な知見や失敗例を織り交ぜているため、人事制度を構築していく上での“具体的なシーン”を浮かべながら読み進めることができる点も本書の特徴だ。
■ 筆者は、「制度設計に当たっての現状分析インタビューではどのようなことを聞くか」「妥当な等級数はいくつか」「中途採用者の報酬をどのように考えるか」「ストックオプション以外のインセンティブは必要か」など、実務に落とし込んだ疑問に漏れなく回答している。さらに、人事制度説明会におけるFAQ例やアンケート例などを記載するほか、特典として等級判定シートや報酬シミュレーションなどのExcelファイルのダウンロードも可能だ。スタートアップ企業のみならず、自社制度の改定を検討するあらゆる企業の人事担当者にも手に取っていただきたい一冊である。
内容紹介 長期雇用や新卒一括採用が主流の従来の日本企業で導入されるような人事制度と、スタートアップで導入するべき人事制度には大きな違いがあります。 そこで本書では、スタートアップのための人事制度を「等級制度・評価制度・報酬制度」の3つに分け、設計・導入・運用方法についてすぐ実践できるレベルにまで落とし込み解説します。 職種別で各制度の仕組みを設計する方法、新規雇用した即戦力人材の評価・報酬を決めやすくする方法、メンバーの自律的な能力・キャリア開発を促す環境のつくり方、運用時に便利な資料・ツール紹介など、リアルな現場の事例とともに紹介していきます。 |