株式会社ラントリップ 取締役
四六判/280ページ/1800円+税/日本実業出版社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 実現したい世界を表す「ビジョン」、そのための使命である「ミッション」、そして使命を果たすための判断・行動を意味する「バリュー」を定める企業は多く、これらは企業文化(カルチャー)の一部を表しているともいえる。急成長中のスタートアップ企業の人事担当者として、企業文化の可視化と浸透に長く携わってきた筆者は、企業文化とは“組織とメンバーの生き方論であり、企業の永続的な成長・成功に欠かせない土台”であると述べる。本書は、この企業文化を、可能な限り“手触りと輪郭を持つ「デザイン対象物」”として扱った上で、どのようにデザインしていくかを解説したものだ。
■ 本書の前半では、なぜ企業文化が大切であるかについて、「スタンス」と「スタイル」の違いにも触れつつ説明した上で、企業文化を語る前に押さえておくべき「競争戦略」「競争優位性」に触れる。そして企業文化の相似領域である「宗教」や、実例(エアビーアンドビー、ネットフリックス、サイバーエージェント、プロサッカークラブなど)から企業文化の理解を深めていく。後半では、実際に企業文化をデザインする上での要件(採用、人事評価など)や、組織のコミュニケーションデザインにおいて重要となる個人の行動原理とその源泉となる感情に向き合い、必要となるリーダーシップなども解説する。
■ 企業文化の醸成や浸透、伝承に近道はない。また、企業文化は創業過程や成長過程におけるさまざまな成功・失敗体験を通じて構築され、時代や環境の変化の影響を受けて変化するものだ。そのため、注意深くデザインし続けなければならないと筆者は主張する。本書をきっかけとして、自組織の文化への理解と認識を深め、これをより良いものにしていくための行動を検討してみてはいかがだろうか。
内容紹介 自分たちにとって本当に必要なカルチャーとはどんなものなのか? どうすればそれを力強く維持できるのか? 自分たちはどのように生きたいのか? 企業カルチャーとはその会社の「生き方」論。 スマートニュースをはじめ、数々のITベンチャーのグロースにHR面で貢献してきた著者が、強力な企業文化を醸成・浸透させるノウハウを解説。社員のモラル、モチベーションが改善、事業の発展には欠かせない要素が満載です。 |