毎熊社会保険労務士事務所 代表、特定社会保険労務士
A5判/208ページ/2600円+税/中央経済社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 最近になりコロナ禍の収束が見え始めたこともあって、テレワーク制度の見直しを進める企業が増えている。本書は、テレワーク環境下での労務管理体制や、規程の整備のポイントなど、テレワークの“導入から終了”に至るまでの幅広い労務上の課題を、特定社会保険労務士である著者が各種ガイドライン等を踏まえながら分かりやすく解説したものである。
■ 第1章でコロナ禍におけるテレワークの特殊性に触れた後、第2章では「ICT環境の整備」や「情報セキュリティ対策」など、テレワーク環境を整備する上でのポイントを解説している。最も紙幅を割く第3章では、「労働時間の管理」「費用負担」「人事評価」といったテーマごとに、労務管理体制の整備について子細に説明している。続く第4章で「就業規則の見直し」など規程の整備のポイントを解説し、第5章では「テレワークができない従業員から不公平だという声が上がる」「情報セキュリティ対策を適切に行っているか不安だ」など、テレワークの運用で発生しがちな11の課題を取り上げ、課題解決の方針を提示している。
■ 最終章となる第6章では、テレワーク制度を終了する際の留意点を説明していく。新型コロナ感染症の5類移行などに伴って、急ごしらえで導入したテレワークの終了・廃止を検討している企業も多いだろう。しかし、筆者は「テレワークの廃止は慎重に」と述べ、廃止のデメリットも挙げた上で、運用方法の見直しを勧めている。本書は、テレワークにおける労務管理について、実務に即して解説する内容となっているが、自社のテレワーク制度の在り方や位置づけ自体について改めて考える際にも有用なものとなるだろう。
テレワーク制度のブラッシュアップ ―導入・見直しのポイントと労務管理 内容紹介 これからの時代に即したテレワーク環境・労務管理体制・規程の整備のポイントから、運用上の課題と対応、制度の縮小・終了時の留意点までを、最新のガイドラインなどの内容を踏まえて解説する。規程例・書式例も掲載。 各々の事情や状況にあった働き方で各自が能力を最大限に発揮するために、テレワークは重要なツールとなる。コロナ下で導入した制度を適法に発展させる実務指針を示す。 |