最低賃金、30日に議論開始 全国平均時給千円が焦点

 厚生労働省の中央最低賃金審議会は、賃金の下限に当たる最低賃金の2023年度の引き上げ目安額を決めるため、30日から議論を始める。現在は全国平均時給961円。政府は物価高騰を背景に、経済財政運営の指針「骨太方針」で「今年は時給千円を達成することを含め議論を行う」と明記しており、千円へ引き上げるかどうかが焦点となる。
 中央審議会では労使の代表らが協議し、例年7月中に引き上げ目安額を決める。この目安額を基に、都道府県の地方審議会が話し合い、8月ごろに実際の引き上げ額を決定。10月以降、順次適用され、非正規を含む全ての働く人が対象となる。
 岸田文雄首相は今月21日の記者会見で、最低賃金の千円への引き上げに意欲を示し「千円達成後の方針についても議論を行っていく」と述べていた。
 連合は、賃上げ回答が相次いだ23年春闘の勢いを波及させたい考え。芳野友子会長は「誰もが時給千円(を受け取れる状況)の早期実現を目指す」と話す。
 日本商工会議所など経済団体は、賃上げの必要性には理解を示しつつ、中小企業を中心に厳しい経営環境が続いていることへの配慮を求める。ある経済団体の関係者は「中小企業には賃上げの余力がない」と語る。
 最低賃金の22年度の引き上げは、全国平均で過去最大となる31円増だった。
(共同通信社)