2023年07月05日掲載

採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント - 2023年7月

ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介

(調査・編集:主席研究員 松岡 仁)

 ProFuture代表の寺澤です。
 先月、大企業の採用責任者数名とお話しする機会があり、現在の2024年卒採用の状況を話題にしたところ、「いや~、今年は本当に苦労していますね」との声を多くの方から聞きました。
 就職ナビが実施する就活生の内定率調査の結果が定期的に報道され、例年以上に早いペースで内定率が上昇していることは皆さんもご存じでしょう。企業の採用活動が早期化しているため、それだけ企業の内定出しが早く進んでいるのは確かですが、すべての企業の採用活動が同様に早期化しているわけではありません。人気企業や学生の第一希望の企業の選考が進まない場合、内定を出した学生からの内定承諾は遅れ、1カ月以上待たされた末に内定辞退というケースも多くあります。中には、理系の大学推薦経由で応募してきた学生ですら、内定を辞退することもあるという報告もありました。推薦応募の学生の内定辞退など、これまでであれば考えられなかった事態ですね。
 選考の「早期化」は、決して採用活動の「早期終了」につながるわけではなく、「長期化」を招く原因にもなっているようです。採用担当者の切実なコメントや具体的なデータについては本編で詳しく紹介します。

採用ホームページを重視する大企業

 さて、今回は、HR総研が人事採用担当者を対象に2023年6月に実施した「2024年&2025年新卒採用動向調査」の結果から、2024年卒採用のトピックを紹介します。
 まずは、「2024年新卒採用で重視した施策」から見ていきましょう。[図表1]は、全体の回答結果と、他の企業規模と異なる傾向を示した1001名以上の大企業の回答結果だけを並べることで、比較しやすくしています。

[図表1]2024年新卒採用で重視した施策(複数回答)

[図表1]

 全体、大企業ともに最も多かったのは「自社採用ホームページ」でした。しかし、全体の48%に対して大企業では64%となり、16ポイントも差があります。ちなみに、301~1000名の中堅企業では47%と全体とほぼ同じですが、300名以下の中小企業では37%にとどまり、大企業とは30ポイント近い差が生じています。大企業はセミナー・会社説明会や面接を対面形式ではなくオンライン形式で実施することが多く、採用ホームページでいかに自社の仕事内容や会社の魅力、社員の紹介を効果的に伝えていくかを重視した取り組みを行っているものと推測されます。近年では、よりリアルに情報を伝えられることから、動画コンテンツにも注力しています。
 その他、全体よりも大企業のほうが重視している施策としては、「オンライン型のインターンシップ」(全体:16%、大企業:31%)、「リファラル採用」(全体:9%、大企業:19%)、「リクルーター(OB/OG)の活用」(全体:8%、大企業:19%)などがあります。

ターゲット層に変化は見られるも、企業規模によって理由に違い

 さて、コロナ禍や事業変革、DX推進の流れなど、社会情勢や企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中で、新卒採用における各企業のターゲット層となる学生の条件は、これまでと比べて変化しているのでしょうか。
 全体の回答を見ると、「変化してきている」(9%)と「やや変化してきている」(33%)を合わせた「変化あり」派(以下同じ)が42%となり、「変化していない」(12%)と「あまり変化していない」(25%)を合わせた「変化なし」派(以下同じ)が37%と、やや「変化あり」派のほうが多くなっています[図表2]。企業規模別に見ると、「変化あり」派の割合は、大企業で40%、中堅企業で45%、中小企業でも44%と、規模による差異はそれほど見られません。昨年同時期の2023年卒採用の調査では、「変化あり」派の割合は、大企業で48%、中堅企業で37%、中小企業では34%となっていましたので、中堅企業・中小企業においても変化させざるを得なくなってきていることがうかがえます。
 一方の「変化なし」派は、大企業で26%、中堅企業で36%、中小企業では45%と、企業規模が小さくなるほど「変化なし」派の割合が高くなっています。この傾向は2023年卒採用と変わっていません。

[図表2]ターゲット層となる学生の条件の変化(単一回答)

[図表2]

 では、ターゲット層が変化してきている主な理由は何なのでしょうか。複数選択で回答してもらったところ、従業員規模により大きく異なる結果となりました[図表3]。中堅・中小企業では、「入社後のミスマッチ防止対策」がいずれも47%で最多だったのに対して、大企業では29%にとどまっています。大企業で最も多かったのは、「事業変革に伴う人材要件の変更」で42%、次いで「DX推進等による理系人材のニーズ増加」が35%で続きます。「事業変革に伴う人材要件の変更」は、中小企業でも38%と比較的高いものの、中堅企業では中小企業よりも低い27%となっています。さらに、「DX推進等による理系人材のニーズ増加」は、中堅企業13%、中小企業18%と、大企業(35%)の半分程度かそれ以下にとどまっています。「オンライン採用による地域間格差の解消」は、オンライン説明会やオンライン面接の実施割合や応募者の地域的広がりにも影響されますので、大企業の32%に対して、中堅企業23%、中小企業では15%と、企業規模が小さくなるにつれ低くなる傾向が見られます。

[図表3]ターゲット層が変化してきている主な理由(複数回答)

[図表3]

大企業の4割がリファラル採用に注力

 次に、採用手法について見てみましょう。就職ナビや合同企業説明会等で募集団形成する「マス採用」と、インターンシップやダイレクトソーシングなどを活用した「個別採用」の両方の要素をミックスした採用手法を採る企業が増えていますが、そのバランスを聞いてみた結果が[図表4]です。全体では、「マス型採用に注力した」の30%、「マス型採用を主軸に個別採用にも取り組んだ」の33%を合わせた「マス型採用」派(以下同じ)が63%と6割を超えています。企業規模別で見ると、「マス型採用」派は大企業で69%、中堅企業でも72%と7割前後を占めているのに対して、中小企業では53%とわずかに半数を超える程度にとどまっています。

[図表4]マス採用と個別採用のバランス(単一回答)

[図表4]

 一方の「個別採用に注力した」企業について比較してみると、大企業は7%、中堅企業は21%、そして中小企業は32%と、企業規模が小さくなるにつれて「個別採用に注力した」企業の割合が高くなっています。採用人数が少ない中小企業では、マスで学生募集団を大きく形成してから書類選考や適性検査、面接で絞り込む手法よりも、最初からターゲットとなる層に個別にアプローチする採用手法のほうがコストや労力の面で効率的であると考えられます。

 「個別採用」に少しでも取り組んだ企業に対して、活用したダイレクトソーシングや実施施策を聞いたところ、大企業で最も多いのは「社員からの紹介(リファラル採用)」で42%でした[図表5]。次いで、「逆求人サイトの活用」が23%、「内定者からの紹介」と「SNSの活用」がともに13%で続きます。中堅企業では「社員からの紹介」も31%と多いのですが、それよりも「逆求人サイトの活用」が34%でトップです。中小企業でも同様に「逆求人サイトの活用」が29%で最も多く、「社員からの紹介」は17%にとどまります。企業規模が大きいほど、「社員からの紹介」を活用する企業の割合が高くなっています。「社員からの紹介」を効果的に推進するためには、紹介の受付窓口や紹介後の手続き、内定や入社に至った場合のインセンティブ、交通費や飲食費などの経費に関する規定や仕組みづくりの他に、企業理念・ビジョンや求める人物像、ある程度の人事知識や入社後の待遇など、紹介してもらう社員への周知や研修なども必要となります。

[図表5]24卒採用で実施したダイレクトソーシングの内容(複数回答)

[図表5]

 「個別採用」に取り組んだ背景についてのフリーコメントを抜粋して紹介します。今回は、「エンゲージメント」というワードが散見されました。

【「個別採用」に取り組んだ背景】

  • エンゲージメントが高そうな人材確保のため(1001名以上、サービス)
  • エンゲージメントの確認(1001名以上、サービス)
  • 特定学科が対象であり、かつ少人数採用(300名以下、建築・土木)
  • マス型で応募学生が減ったため(301~1000名、運輸・倉庫)
  • 特殊ポジション(AIエンジニア等)の採用をする必要があったため。そのポジションに対しては能力や当社とのマッチング度合いを見分けるため、個別に採用を進めた(1001名以上、情報処理・ソフトウェア)
  • 知名度がなく、母集団形成は難しいと判断したため。また、ターゲット層ではない応募が来てしまうため(300名以下、商社・流通)
  • 個人ごとのニーズや知りたいことが異なり、それを解決できるように対応することが必要と考えたため(301~1000名、サービス)
  • BtoBで認知度が低い当社の技術に興味・関心を示してくれそうな潜在層に対して、直接アプローチすることが必要と考えているので(1001名以上、メーカー)
  • マス型採用だけでは取りこぼしてしまう層に接触するため(301~1000名、商社・流通)

ChatGPTは様子見の企業が大半

 新卒採用において、多くの企業が応募意欲の確認や書類選考の手段としてエントリーシート(ES)を活用しています。企業規模ごとに見てみると、「ESを導入していない」とする企業は、大企業では7%、中堅企業でも28%と少数派ですが、中小企業では61%と6割以上が導入していないことが分かります[図表6]。中小企業では「ESを導入していない」企業のほうが多い傾向にありますが、これは応募のハードルをわざわざ上げる必要性をあまり感じていない企業が多いためと考えられます。

[図表6]エントリーシートの通過率と「導入していない」割合(単一回答)

[図表6]

 具体的な通過率を見てみると、「100%(全員通過)」は大企業で10%、最も割合の高い中堅企業でも19%となっています。中小企業ではそもそもESを導入している企業は4割未満であり、「100%(全員通過)」は15%ですが、「80~100%未満」を合わせると24%となり、ES導入企業の61%は「ほぼ通過」となっています。中堅企業でも「80~100%未満」が19%で、「100%(全員通過)」と同じくらいの割合となっており、ES導入企業の半数以上が「ほぼ通過」としているようです。
 一方、大企業で最も多い割合を占めるのは「40~60%未満」であり、ES段階の選考で落とされる割合が約半数となっています。「100%(全員通過)」と「80~100%未満」を合わせた「ほぼ通過」は24%にとどまり、ESは主に応募者を絞り込む手段として導入されていることが分かります。

 最近注目されている会話型生成AI「ChatGPT」は、就職サイト等のエントリーシート作成サービスなどで活用されているほか、学生自身でもChatGPTを使ってエントリーシートの文章を作成することが可能です。では、書類選考の手段としてもエントリーシートを活用している企業側は、ChatGPT対策を行っているのでしょうか。
 エントリーシートにおけるChatGPT対策の有無を調査したところ、すべての企業規模で「様子を見ている」と回答した企業が最も多く、大企業・中堅企業では約65%、中小企業でも54%が「様子を見ている」と回答しました[図表7]。一方、「対策をしている」と回答した企業は大企業でも8%と1割にも満たず、中堅企業では3%、中小企業に至ってはゼロという結果になりました。

[図表7]エントリーシートにおけるChatGPT対策の有無(単一回答)

[図表7]

 逆に、「対策する予定はない」と回答した企業は、大企業では15%と少数派ですが、中堅企業では32%、中小企業では42%となっています。企業規模が小さいほど、対策を諦めた企業が多い傾向があります。対策する場合でも、「文面の内容を改めて面接で確認し、齟齬(そご)がないか、自分自身の言葉で話しているかを確認する」(情報処理・ソフトウェア)という声に代表されるように、面接で候補者を見極めることに重点を置いているようです。仮に、ChatGPTの使用有無を確認できたとしても、実際にChatGPTで生成された文章をどの程度使用しているのか、カスタマイズしているのかは判別できません。そのため、エントリーシート自体で対策をすることは難しいといえます。今一度、エントリーシートの在り方を考え直す必要があるでしょう。

中小企業の最終面接は、ほぼ対面形式で実施

 今度は面接に関する結果を見ていきましょう。まず、面接の実施時期(予定を含む)についてです。面接時期を複数選択で回答してもらった結果を[図表8]に示しました。

[図表8]面接実施時期(複数回答)

[図表8]

 企業規模によって、面接のピーク時期が異なります。大企業では、「2022年12月」から20%以上の企業が早くも面接を実施しており、「2023年1月」には33%に達し、その後も30%台が続き、「2023年4月前半」には43%と4割を超え、「2023年4月後半」にはピークとなる50%を記録しました。その後、「2023年5月前半」以降は30%台に低下し、「2023年7月前半」からはさらに20%台にまで落ち込みます。
 中堅企業では、「2023年1月」に23%、「2023年3月前半」32%、そして「2023年3月後半」45%と増加し続け、ピークは「2023年5月後半」の53%でした。その後は30%台に落ち着きました。大企業と比較して、ピーク時期が1カ月遅れています。
 中小企業はというと、顕著なピークはなく、「2023年3月後半」になってようやく23%となり、その後は2~3割程度で推移しました。採用人数が少ない企業では、面接期間が長期化することなく、特定の時期に面接を集中的に実施することができた企業も少なくないと推測されます。

 次に、面接の形式についても見てみましょう。コロナ禍では、最終面接を含むすべての面接をオンライン形式で実施した大企業も多かったのですが、2024年卒採用ではどのような状況だったのでしょうか。比較のために、大企業と中小企業について、「一次・二次面接」と「最終面接」に分けて、それぞれ面接形式を聞いた結果が[図表9]です。

[図表9]面接形式の比較(単一回答)

[図表9]

 大企業では、一次・二次面接は36%が「オンライン形式を主軸に対面形式でも実施」と回答し、さらに「オンライン形式のみ」を合わせた「オンライン形式」派は64%を占め、「対面形式のみ」はわずか10%でした。ところが、最終面接になると、状況は大きく変わります。最終面接では、最も多い回答が「対面形式のみ」の57%であり、「対面形式を主軸にオンライン形式でも実施」を含めた「対面形式」派は71%となり、一次・二次面接時の割合と比較して大きく逆転しました。以前から、企業や学生の両方がオンライン形式だけでは訴求や理解が不十分だという意見がありましたが、それが払しょくされた形になっていることが分かります。
 一方、中小企業では、一次・二次面接で既に「対面形式のみ」が最も多く40%を占めており、「対面形式を主軸にオンライン形式でも実施」を含めた「対面形式」派は67%と3分の2に達しています。最終面接ではこの傾向がさらに加速し、「対面形式のみ」だけでも85%を占め、「対面形式を主軸にオンライン形式でも実施」をも含めると、実に93%が「対面形式」派となり、ほぼコロナ前の状態に戻っているといえます。2025年卒採用では、大企業でもさらに「対面形式」派が増えるでしょう。

内定辞退率50%の大企業で3割

 2023年6月時点での内定充足率(採用計画数に占める有効内定者数)を見てみると、大企業では「100%以上」は5%にとどまり、「80~100%未満」を合わせても3割に届きません[図表10]。最も多かったのは、「40~60%未満」、つまり半分程度の充足率で、33%と3分の1の企業になります。もっと充足率の低い区分を確認すると、大企業では「0%(内定者ゼロ)」は7%にとどまりますが、中堅企業では17%、中小企業に至っては39%と4割近くに達しています。これは2024年卒採用の厳しさを示しています。

[図表10]2024年4月入社の内定充足率(単一回答)

[図表10]

 また、6月時点での内定辞退率については、内定者の少ない企業の割合が多い中小企業では「0%(辞退者ゼロ)」が36%を占めています。一方、大企業と中堅企業では8~10%にとどまります[図表11]。大企業と中堅企業における内定辞退率で最も多い割合は「20%未満」であり、大企業が41%、中堅企業が28%です。次に多いのはいずれも「40~60%未満」で、大企業が31%、中堅企業が26%です。つまり、“内定者の約半数にすでに辞退されている”企業の割合が3割前後にもなっていることが分かります。2023年卒採用の同時期調査における6月時点での内定辞退率「40~60%未満」の割合は、大企業で20%、中堅企業で23%でした。したがって、中堅企業では3ポイント増にとどまりますが、大企業では10ポイント以上も増加していることになります。先に述べたように、面接選考は大企業のほうが中堅企業よりも先行していましたが、早く内定を出したからといって、内定者が就職活動を止めるわけではありません。遅れて始まった、より上位の志望企業から内定が出れば、簡単にそちらに(くら)替えしてしまう学生の様子が目に浮かびます。

[図表11]6月時点での内定辞退率(単一回答)

[図表11]

 今後の採用活動の方針を聞いてみたところ、企業の規模に関係なく、「すでに選考は終了した」とする企業は15~17%にとどまりました[図表12]。最も多かったのは「新たにエントリーを受け付ける」で、大企業ですら52%と半数を超え、中堅企業では64%、中小企業に至っては77%と8割近くにも及びます。2023年卒採用の同時期調査では、大企業で48%、中堅・中小企業はどちらも56%でしたので、今年は昨年以上に企業、特に中小企業が苦労していることが分かります。

[図表12]今後の24年卒採用活動予定(単一回答、留学生・外国人を除く)

[図表12]

中堅企業の2/3が23卒採用よりも「大変になった」

 2024年卒採用と2023年卒採用を比較しての所感を聞いてみました。全体では、「変わらない」が45%で最も多く、次に「やや大変になった」が27%、「かなり大変になった」が25%と続きます。また、「楽になった」(「かなり楽になった」と「やや楽になった」の合計、以下同じ)と回答した企業はわずか3%です[図表13]。圧倒的に「大変になった」(「かなり大変になった」と「やや大変になった」の合計、以下同じ)と感じている企業が多くなっています。
 企業規模別に見ると、大企業では「大変になった」と「変わらない」がどちらも50%であり、「楽になった」は1社もありませんでした。一方、中堅企業では、「変わらない」が32%であり、他の規模より少なく、その分、「大変になった」が64%と3分の2近くにもなっています。

[図表13]23年卒採用と比較した24年卒採用活動の所感(単一回答)

[図表13]

 「大変になった」と感じる理由のフリーコメントを抜粋して紹介します。母集団の減少と内定辞退を挙げる声が多くなっています。

【2023年卒採用を比較して2024年卒採用が「大変になった」と感じる理由】

  • エントリーから会社説明会への参加率が大きく減少した(300名以下、メーカー)
  • 内定辞退が多くなった(301~1000名、メーカー)
  • 途中での選考辞退が増加したため(301~1000名、情報処理・ソフトウェア)
  • 学生が内定を複数持っているケースが増えており、クロージングに時間がかかっている(1001名以上、サービス)
  • エントリー数の減少。第一志望のない学生が増えたことによる内定承諾への躊躇(ちゅうちょ)(301~1000名、メーカー)
  • 応募数が減少したので追加施策を実施したため(301~1000名、運輸・倉庫)
  • 学生の応募数が激減したため(1001名以上、メーカー)
  • エントリー数が昨年の半分くらいになった(300名以下、情報処理・ソフトウェア)
  • 母集団獲得に苦慮しているが、さらに大変になった(1001名以上、サービス)
  • 特に理系採用は、年々エントリーが減り、内定承諾率もなかなか上がっていかない状況にある(1001名以上、メーカー)
  • 内定後のフォローに相当工数がかかる(1001名以上、メーカー)
  • 就職活動を終える人が増えている印象(300名以下、情報処理・ソフトウェア)
  • 採用人数が増えた上に、質も求められたから(1001名以上、情報処理・ソフトウェア)
  • 採用手法の多様化(1001名以上、商社・流通)
  • 学生の意向が多様化しており、トレンドがつかみにくいと感じる(1001名以上、メーカー)

肯定面よりも否定面が多い2024卒学生の印象

 最後に、2024年卒学生についての印象や傾向についてのフリーコメントを抜粋して紹介します。皆さんはどんな印象をお持ちになりましたか。

【2024年卒学生についての印象や傾向―肯定的側面】

  • 真面目で熱心な学生が多い。志望者が予想以上に多かった(300名以下、メーカー)
  • コロナ禍の学生生活の影響を心配していたが、現時点では感じることはない(1001名以上、商社・流通)
  • コロナ禍の状況下においてでも自分が打ち込んできたものを、明確に説明することができていた(300名以下、商社・流通)
  • 積極性が高くなっているように感じる(301~1000名、サービス)
  • エンゲージメント、成長がイメージできることを強く求めている印象(301~1000名、サービス)
  • 今年に限らず、現代の学生さんは素直で誠実です(301~1000名、メーカー)
  • 「取りあえずエントリーを」という学生が減った。 道草を食わない=タイパ重視の表れか(300名以下、商社・流通)

【2024年卒学生についての印象や傾向―否定的側面】

  • 積極性に欠ける(300名以下、建築・土木)
  • 就職活動の早期化および活動量の減少(300名以下、メーカー)
  • 就職する「気」がない(300名以下、建築・土木)
  • 無表情(300名以下、運輸・倉庫)
  • 覇気がない。質問が少ない(301~1000名、商社・流通)
  • 1社にこだわりを持っているよりも、内定を獲得した中から最終的な入社先を選定する内定コレクターが増えた印象(1001名以上、情報処理・ソフトウェア)
  • 指示しないと何もしない。呼びかけ等に対する反応が薄い(1001名以上、メーカー)
  • サークルやアルバイトをしている学生が減った。ただやっている学生とそうでない学生の差が広がった感じがする(300名以下、情報処理・ソフトウェア)
  • 内定承諾に時間を要する(300名以下、情報処理・ソフトウェア)
  • 内定を出しても、就職活動を続けている。内定を持っていても、選考を受けに来て、内定保持を増やしているような気がする(301~1000名、メーカー)
  • 毎年大人しくなっていく印象。実際にどう考えているかは、よくよく聞き出さないと分からない。しかし、人事担当のオジサンには絶対にしゃべらない。若手社員に聞き出してもらうしかない(301~1000名、商社・流通)
  • 志望度が読めない(301~1000名、サービス)
  • ワークとライフのバランスが3:7くらいに感じる(300名以下、サービス)
  • 例年以上に前に踏み出す力が弱い学生が多い(301~1000名、サービス)
  • 決めきれない、自分の気持ちが分からない学生が多い印象。また、年収など「こんなこと聞くの!?」と感じてしまうようなことも躊躇なく聞けてしまう学生が多く、売り手市場感がある(301~1000名、メーカー)
  • オンライン面接に慣れている学生が増えた。手元にChatGPTで作成したと思われる原稿を置いている学生が散見された(1001名以上、メーカー)

【2024年卒学生についての印象や傾向―肯定的、否定的側面の両方】

  • 就職活動に向けて意識の高い学生と、低い学生の差がより顕著になっていると感じる(300名以下、メーカー)
  • 真面目さを感じる一方、柔軟性に欠けるように感じる(300名以下、メーカー)
  • 学生の意向が多様化しており、トレンドがつかみにくいと感じる(1001名以上、メーカー)
寺澤 康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
86年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。07年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。
https://www.hrpro.co.jp/