宮崎県日南市の市立中部病院に勤務していた40代女性医師が、産休明けの勤務日を一方的に減らされるマタニティーハラスメントが原因で、精神疾患が悪化し就労困難に陥ったとして、市に約918万円の損害賠償を求めた訴訟で、宮崎地裁は12日、週1日の勤務提案が「出産後の女性を差別するものとは評価できない」と請求を棄却した。
後藤誠裁判長は判決理由で、病院が産休以前に精神疾患や不妊治療で勤務上の配慮をしていたとして「妊娠、出産を理由に勤務条件で不利益に扱う意図があったとは認め難い」と判断した。
一方、女性医師に週2日や3日の勤務が可能だと伝えず、勤務条件の希望を聞き取っていなかったとして「まず原告に尋ねていれば認識の齟齬が生じなかった可能性もある」と指摘した。
判決によると、女性は2021年1月に出産。同3月、復帰後の4月から毎週水曜の慣らし勤務を始めると病院側から提案され、水曜以外は医師が足りており勤務の余地がないと認識した。抑うつ症状が悪化して3~6カ月の自宅療養が必要と診断され、3月末で退職した。
女性は判決後の記者会見で「不当な判決。出産後の女性は働くなと言われているように思った」と強く憤った。
(共同通信社)