最低賃金、労使議論本格化 今月末に引き上げ目安額

 厚生労働省の中央最低賃金審議会は12日、小委員会を開き、時給の下限を表す最低賃金の2023年度の引き上げを巡り、労使の議論を本格化させた。現在の全国平均時給は961円。労使は物価高騰を反映させて調整する考えで、千円に到達する公算が大きい。今後は、千円から上積みできるかどうかが焦点となる。7月末にも引き上げの目安額を決める。
 小委員会での議論は昨年まで非公開だったが、今回は審議の透明性向上を狙い一部を公開。この日は、傍聴者らの前で、労使がそれぞれ基本的な意見を表明した。
 労働者側の代表は、物価上昇に労働者の収入が追い付いていないと指摘。「最低賃金で働く労働者の生活は苦しい」とし、大幅引き上げを訴えた。また「中小企業にとっては、人材確保の観点からも最低賃金引き上げが急務だ」と話し、企業側の努力を促した。
 経営者側の代表は「引き上げの必要性は十分理解している」と述べた。同時に「中小企業に対し、支払い能力を超えた過度な負担を担わせないよう配慮してほしい」と付け加えた。
 政府は6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」で「今年は時給千円を達成することを含め議論を行う」と明記した。
(共同通信社)