株式会社新経営サービス コンサルタント
A5判/248ページ/2000円+税/日本実業出版社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 本書のタイトルにある「採用、育成、定着」は、中小企業にとって悩みを抱えることの多いテーマだ。確かに中小企業は大企業と比較してネームバリューや資金力など制約が多い。しかし採用・定着コンサルタントである著者は、採用・定着施策の見直しにより大きな成果を上げた中小企業を数多く見てきたという。本書では、欲しい人材を確実に採用・育成し、定着させる方法をさまざまな成功実例を通して解説する。
■ 本書は冒頭で、中小企業における採用数や定着率の低さの原因として、現状に合わない時代遅れの採用活動・定着施策を指摘する。さらに“場当たり的な採用活動”など四つの典型的な間違いを挙げ、第1章以降で手順を追って解決策を示すという構成だ。第1章は「採用・定着・育成」を1セットで検討すること、第2章は自社の「求める人材像」を策定し、社内で共有、浸透を図ることに焦点を当てる。第3章は教育計画の策定手順と、指示受けスキルなど新人に身につけてほしいスキル、上司が果たすべき役割を取り上げる。
■ 第4章では自社にとって効果的な採用方法を、最終章の第5章では自社にとって最適な定着・育成の進め方をそれぞれ取り上げる。実際に著者が所属するコンサルティング会社で用いているフォーマット(自社の採用活動における現状と問題点、自社の魅力や強みを洗い出すシートなど)やその記載例、また、具体的なコミュニケーションスキル(採用応募者に自社の魅力や強みを伝えるエピソードトークの例など)が紹介されており、一貫して実務に直結した内容が取り上げられている点も本書の特徴だ。自社の強みを生かした採用戦略を立てるために、現在の取り組みを振り返るきっかけとして、ぜひご活用いただきたい。
『成功事例でわかる 小さな会社の「採用・育成・定着」の教科書』 内容紹介 自社のあるべき姿と求める人材像を明確にし、その人材を育成する教育制度とOJT計画を策定、実施。一連の取り組みをオープンにすることで、応募者の不安を取り除き、ミスマッチの解消につなげていきます。 応募者の母集団形成(応募を増やすこと)に主眼を置く多くの類書とは一線を画した、経営者・コーポレート部門担当者必携の1冊。 |