官報、電子版が基準に 政府検討、行政効率化狙い

 政府は、法令の公布などを掲載する官報に関し、紙版からインターネット上での電子版による公表を基準とする検討を進めている。デジタル化で行政の効率化を図り、利便性を向上させる狙い。2024年度にも現在「正本」である紙版と、「付属物」となっている電子版の位置付けを逆転させる。政府は秋に見込まれる臨時国会に新法を提出、制定を目指す。
 官報の電子化を巡り、内閣府の有識者会議は7月12日、「基本的考え方」の案を公表した。電子版は紙版と「同等以上の周知性が確保され、利便性を大幅に向上できる」と指摘。改ざんなどに備えたサイバー対策を講じれば「法令の『正本機能』を有する」とした。インターネットを利用できない人のため、紙版の配送や販売などの継続を求めた。
 有識者会議は9月に案を正式決定する予定。電子版が正本となれば、印刷までの掲載手続きの簡素化や経費削減が期待できる。官報に関する法律はなく、内閣府令で掲載事項だけを定めているが本来、法律で定めるべき事項が多いため、新法提出が必要となった。
 官報は第1号が明治時代の1883年に発行された。企業合併や政府調達などの情報を掲載し、紙版は平日の午前8時半に公開される。有料の定期購読は21年の実績で月約6200部。紙版と同じ内容の電子版が1999年から無料で提供されており、直近90日分を閲覧できる。
(共同通信社)