あまねキャリア株式会社CEO
四六判/256ページ/1600円+税/技術評論社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 「コミュニケーションを良くしよう!」という呼びかけは、企業や組織で一般的に聞かれるものだ。しかし著者は、「コミュニケーション」はあまりに大きすぎる言葉であり、思考停止・行動停止ワードの代表格であると指摘する。そして、コミュニケーションを起点にさまざまな問題が生じる状態を「コミュニケーションの問題地図」に整理する。そもそもコミュニケーションの問題を論じるためには、その組織や仕事で求められるコミュニケーションの解像度を上げるために行う「要件定義」と、その際に必要な五つの要素(環境、プロセス、関係性、スキル、カルチャー)への着目が必要であるとし、問題地図の「1丁目」から解説を進める。
■ まず1丁目は「一方通行」である。一方通行なコミュニケーションによるズレを早期に発見し、軌道修正するための具体的な行動とは何かを見ていく。続く2丁目の「階層間の景色が合わない」では、企業や組織で掲げられるビジョン、ミッション、パーパスなどの概念が生かされないのはなぜか、状況を改善するアプローチとは何かを考える、といったように、1丁目から7丁目までの問題を一つずつ解説し、具体的な解決への取り組みを示す。
■ 本書冒頭には「コミュニケーションの問題地図 全体マップ」がとじられている。このマップを見ると、例えば、6丁目の「とりあえず1on1」、7丁目の「コミュニケーションコストの意識がない」がメンバーのエンゲージメント低下につながっていく過程を視覚的に理解できる。自組織が「コミュニケーションの問題地図」上のどこに陥ってしまっているか、本書を参考に現状の問題認識から改めることで、効果的な取り組みを検討できるだろう。
コミュニケーションの問題地図~「で、どこから変える?」意識バラバラ、情報共有できない職場~ 内容紹介 「コミュニケーションをよくしよう!」 「『このくらい説明しなくてもわかるだろう』と思っていたら、さっぱり伝わらない、話が噛み合わない」 そんな職場の“あるある”、どこから変えていく? |