厚生労働省は24日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会を開き、国民年金(基礎年金)の保険料納付期間を現行の20歳以上60歳未満の40年間から、65歳になるまでの45年間に延長する案を議論した。委員の多数が賛成意見を述べたため、検討は加速しそうだ。少子高齢化の中で財源を増やし、受け取る年金の水準低下に歯止めをかけるのが狙い。2024年末に結論を出し、25年の通常国会で関連法改正案の提出を目指す。
委員からは「受給水準を維持するため延長に賛成する」「平均寿命が延び、働ける高齢者は保険料を支払うべきだ」などの意見が出た。
60歳以降は働かない人や自営業者らは負担が長引くことになるため、反発も予想される。65歳まで働く会社員らは今も保険料を払っており延長しても負担は変わらない。
基礎年金は23年度、保険料は一律で月1万6520円。保険料を40年間納めた場合の受給額は月約6万6千円となる。
保険料を長く納めれば、その人が将来受け取る名目上の金額は増える。一方、現役世代の手取り収入と比べた基礎年金の給付水準でみると、少子高齢化を受けて徐々に目減りする。このままだと40年代半ばに約3割減ると厚労省は試算している。
公的年金は基礎年金に、会社員らの厚生年金が上乗せされる。部会では厚生年金財源の一部を基礎年金に配分する案も検討。これと45年間納付を行った場合、厚労省試算では、基礎年金を受け取る自営業者らだけでなく、会社員らの受給水準も現在とほぼ同じに保てる可能性がある。
(共同通信社)