2023年10月27日掲載

BOOK REVIEW - 『図解入門ビジネス マネジメントに役立つ 心理的安全性がよくわかる本』

広江朋紀 著
A5判/224ページ/1700円+税/秀和システム 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 「心理的安全性」は近年非常に注目されているが、その意味や考え方をある程度理解していても、なかなか実践に移せないリーダーは多いだろう。本書は、組織・人事領域のエキスパートとして、上場企業を中心に累計1万5000時間を超える研修やワークショップの登壇実績を持つ著者が、心理的安全性を高めるために職場ですぐ実践できる具体案を豊富に提示したものである。

■ 本書は全5章から成り、第1章では心理的安全性の基本的な考え方を解説している。続く第2~4章が核となるパートで、順に「リーダー個人の心理的安全性」→「リーダー・メンバー2者間の心理的安全性」→「職場・チームレベルの心理的安全性」というテーマで実践的なスキルを紹介している。本書では、心理的安全性を高めるためには上記のように“影響の輪”が3段階あり、ステップを踏んで取り組むことが重要だとしている。ともすれば、部下側の立場からのみ語られがちな心理的安全性だが、リーダー個人の心理的安全性の確保にも焦点を当てていることも本書の大きな特徴だ。そして、最終章となる第5章では、チームの心理的安全性を確保した先にある、チームと全社(あるいは社会)との間に横たわる溝と、それを乗り越えるためのポイントを説いている。

■ 本書は豊富な図表を掲載するとともに、書き込み式の「WORK」を33も設けている。文章を読んで理解するだけでなく、「WORK」で問われる簡単な課題に沿って自らの考えを書き出すことで、心理的安全性を高めるスキルをより具体的なものとして身に付けられるようになっている。ぜひ本書を活用して、心理的安全性を高めるための一歩を踏み出してほしい。

図解入門ビジネス マネジメントに役立つ 心理的安全性がよくわかる本

内容紹介
チーム内の「対立」を「成果」に――
現代型組織運営の教科書

本書は、「心理的安全性」について理解するだけではなく実践するための処方箋です。

具体的には、リーダーがマネジメントすべき3つの影響の輪、すなわち①リーダー個人の心理的安全性、②リーダー・メンバー2者間の心理的安全性、③職場・チームレベルの心理的安全性と段階ごとに分けて紹介し、ワークブックとして気づきを書き込みながら、リーダーが明日から自分の職場ですぐに使える「33の実践知」を示しました。