BOOK REVIEW - 『日本で一番「早く」「簡単に」「エンドレスで」業績を上げる人事制度』

■ 環境変化の激しい時代、「新しいことに取り組み、業績を上げていく必要がある」と感じている企業は多い。特に中小企業では、限られたリソース・人員の中でこれを達成する必要があり、優秀な人材の採用・定着・育成を通じて社員一人ひとりの生産性を向上させることが求められる。本書では、人事コンサルタントとして20年間で1373社の人事制度構築に携わってきた著者が、その経験と知見を基に、業績に貢献する仕組みづくりを紹介する。

■ 人事制度の設計・運用において重要な仕組みとして、著者は「成長シート」の活用を推奨している。「成長シート」は、高い業績を上げている優秀な社員が実践しているプロセスを可視化・表現するもので、①成果が高いこと（期待成果）、②成果を上げるためにやるべきことをやっていること（重要業務）、③そのやるべきことに必要な知識技術を身に付けていること（知識技術）、④勤務態度がよいこと（勤務態度）――の4要素（成長要素）で構成される。この成長要素ごとに複数段階の「成長基準」を設け、各人の業務遂行状況やスキル等を点数化し、社員の評価や処遇、育成などに活用していく。

■ 本書は、「継続して業績を上げる仕組み」と「社員の成長と採用・定着率を高める仕組み」の2部構成となっている。それぞれ、著者が支援してきた実際の企業事例を基に、どのような課題があるか、それをどう改善・解決すればよいかという流れで解説する点が特徴的だ。紹介されている企業は、いずれも人事制度や仕組みの構築・見直しにより自社の経営課題を解決し、生産性と業績の向上を実現している。企業・社員の成長に限界を感じている中小企業の経営者、人事担当者は、ぜひ本書を手に取っていただきたい。