高倉&Company合同会社 共同代表
新書判/256ページ/900円+税/光文社新書
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 昨今、「ジョブ型雇用」「人的資本経営」「リスキリング」など、人事関係の話題が世をにぎわせている。だが、言葉だけが独り歩きし、単なる流行として取り入れるだけに終わっていないだろうか。本書は、上記のような懸念を抱いている筆者が、約四半世紀にわたって外資系企業と日本企業で人事の仕事に従事してきた経験を基に、日本企業の特性を踏まえた人事変革の在り方や人事部門の新たな役割、人事パーソンに求められる資質などについて検討したものである。
■ 本書の前半では、これまでの人事キャリアを振り返りながら、各社において筆者が取り組んできた“人事変革ストーリー”が共有される。例えば、第2章では、ファイザー、ベクトン・ディッキンソン、ノバルティスファーマの日本法人で人事制度改革等に取り組んだ際の学びが共有される。第3章では、味の素において理事グローバル人事部長としてグローバル人事制度を構築した経験等が語られている。さらに、第4章で詳述されるように、ロート製薬では取締役、CHROとして、独自の「動的人財マネジメント」の策定と運用に携わってきた。こうしたキャリアを踏まえ、本書の後半では、組織変革や今後の人事の方向性といったテーマについて、単なる流行に終わらせず、サステナブルな形で進化させるために、「何を変え、何を変えないか」という、施策の軸についての筆者の見解が述べられている。
■ 本書で語られるのは単なる成功談ではなく、紆余曲折を経ながらも人事制度の策定にまい進してきた体験であるため、一つ一つの施策の紹介にもリアリティーがある。長く企業人事に携わってきたプロフェッショナルの言葉には、人事や人材といったテーマを考える上で、ベテランから新任者まであらゆる人事パーソンにとっての学びがあるだろう。
内容紹介 「私は約四半世紀にわたって外資企業と日本企業で人事の仕事に従事してきたのですが、自分自身の歩みを今振り返って思うのは、変化の激しいこれからの時代には、私たち一人ひとりが主役になり、学びと挑戦を繰り返し、互いに連携しながら事業や社会の課題に取り組んでいく必要があるということです」(「はじめに」より) 序章 いま、企業人事は何を問われているのか |