2023年12月08日掲載

BOOK REVIEW - 『正解がない時代のビジョンのつくり方 「自分たちらしさ」から始めるチームビルディング』

三澤直加 著
株式会社グラグリッド 代表取締役 
A5判/240ページ/2000円+税/翔泳社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 組織の目指すべき方向を指し示すものとして、今や当たり前のように掲げられている「ビジョン」だが、“経営陣がつくった他人事のようなフレーズ”として捉えている従業員も少なくないのではないだろうか。しかし、“「ビジョン」とは、一部の人だけがつくる特別なモノではなく、創造的に生きていきたい人たち、すべてに開かれたモノ”と著者は語る。本書では、大企業から地域コミュニティーまでさまざまな組織に伴走してビジョンづくりを手掛けてきた著者が、組織に属するすべての人の心に響くビジョンのつくり方を提示している。

■ 本書は、序章において、ビジョンが今の時代に必要とされている理由と、ビジョンづくりの前に立ちはだかる五つの壁を示したのち、ビジョンをつくるための方法を「自分たちらしさを探索する」などの六つのステップに分けて提示する構成である。未来の社会と自分たちの役割を結びつけ、語り合い、試行錯誤しながらアップデートしていくための方法論がぎっしりと詰め込まれている。

■ 本書の最たる特徴は、「ビジョンマップ」の作成――自分たちがつくりたい未来の風景を1枚の絵にまとめて解説文を追加していく方法を紹介している点だ。これにより、自分ごととしてビジョンを捉えることができるだけでなく、SNSでの共有もしやすいため、多くの人とつながり合うことも可能になる。絵を描くことが苦手な方でも取り組みやすいように、実に多種多様なテンプレートが用意されており、また、議論・検討のためのワークショップやワークシートの例も多数紹介されているので、すぐにでも実践に移すことができる。ビジョン作成や浸透に悩む人事担当者は、ぜひ本書を手に取っていただきたい。

正解がない時代のビジョンのつくり方 「自分たちらしさ」から始めるチームビルディング

内容紹介
いかにしてチームの目線をそろえるか?
どうすれば組織へビジョンが自然に浸透していくか?

変化が激しく予測困難な時代では、チーム・組織のビジョンが不明瞭だと、メンバーの力を結集してビジネスインパクトをあげることが難しくなってきています。
同時に、価値観が多様な現代では、リーダーや経営層が決めたビジョンをトップダウンで行き渡らせる難しさも出てきました。

そこで本書では、チーム・組織のメンバーが「一緒にそこへ向かいたい」と思えるビジョンのつくり方を6つのステップで紹介します。そして、ビジョンづくりのプロセスを通して、チーム・組織がいつの間にか結束している状況へシフトすることをサポートします。

大企業から中小企業、スタートアップ、地方自治体などさまざまなビジョンづくりに並走してきたビジョンデザイナーが、独自の図解やワークシートを用いて、アイデア発想やファシリテーションのノウハウを公開します。