2023年12月08日掲載

BOOK REVIEW - 『意外に知らない?! 最新 働き方のルールブック』

寺島有紀 編著、大川麻美 著
寺島戦略社会保険労務士事務所 
A5判/184ページ/1800円+税/アニモ出版 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ この10年で、日本の労働環境は急激に変わってきた――社会保険労務士として実務の最前線に身を置く著者は、本書の冒頭でそう語る。労働時間の上限規制や年休の年5日取得義務化、パワハラ防止法など、実際に直近の数年間でも数多くの法改正がなされており、“少し前までの常識が今では非常識”というケースもさまざまな場面で起こり得る状況になっている。本書は、こうした環境の変化を踏まえた最新の労務知識を解説する一冊だ。

■ 本書は全10章から成り、それぞれ①雇用形態、②労働時間、③休日・休暇、④育児・介護休業、⑤賃金・給与、⑥人事異動、⑦ハラスメント、⑧服務規律・懲戒、⑨退職・解雇、⑩多様化する働き方――を取り上げる。各章では、広範に及ぶ人事労務領域のさまざまな項目について、基本知識を中心に説明していく。知りたいことがすぐ引けるように、「1項目=見開き2ページ」の構成となっていて、実務で悩んだとき、困ったときにパッと理解できる点が特徴的だ。また、随所に直近の法改正情報が示されており、働く環境の変化・労働法制の動きがいかに激しいかを感じることもできるだろう。

■ 各章の最後では、「知っトク COLUMN」として足元の実務より一歩進んだ知識にも触れる。例えば、ハラスメントが起きる要因であるアンコンシャスバイアスや、多様化する時代の服務規律(性同一性障害の社員に対する服務規律を理由とする就労拒否の裁判例)など、今後の実務で参考にできる内容が紹介されている。現代の激しく変化する環境の中で、いま一度、基礎に立ち返って知識をアップデートするために、ぜひ本書を手に取っていただきたい。

意外に知らない?! 最新 働き方のルールブック

内容紹介
働く人も人事労務担当者も知っておきたい
会社の常識はこんなに変わった!

人事労務の分野は、2018年のいわゆる「働き方改革関連法」の成立による正社員と非正規社員の同一労働・同一賃金の実施、残業時間の上限規制の導入、有給休暇の義務化等の労働基準法の改正を皮切りに、その後も職業安定法や育児・介護休業法等の改正が相次ぎ、パワハラ規制の強化も法制化されました。

また、コロナ禍によるテレワークの急速な普及と副業・兼業の規制緩和などにより、ここ5年で働き方のルールは大きく変わっています。しかし、働く人はもちろん、人事担当者でも意外に知らなかったり理解していない人が多いものです。

そこで、本書が働き方の最新ルールを図解入りでやさしく手ほどき。働く人も人事担当者も必須の知識といえる会社勤務の新常識を網羅しました。知りたいことが生じたときにもパッと開いてすぐに解決でき、就活生にもすぐに役立つ便利な本です。