2023年12月08日掲載

BOOK REVIEW - 『会社が変わる!生産性が向上する! ジョブ型人事とは何か?』

西村 聡 著
株式会社メディン 代表経営コンサルタント 
A5判/176ページ/1600円+税/労働新聞社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ “ジョブ型”が脚光を浴びて久しい。ジョブ型人事の導入といえば大企業での事例が話題になりやすいが、年功的賃金の弊害の打破や人材獲得等の狙いから、導入を検討している中小企業も多いだろう。本書は、経営コンサルタントとして豊富な実績を持ち、日本職務分析・評価研究センターの代表理事なども務める著者が、中小企業を例に取りながらジョブ型人事の基礎知識や導入・運用の流れを解説したものである。

■ 本書の大きな特徴は、全編を通じて対話形式で構成されていることだ。職務給の導入を検討している中小企業の社長と人事部長、そして人事コンサルタントが議論を進めていく設定となっている。ジョブ型人事について多くの経営者や人事担当者が疑問に思うであろう事項(「職務給だと人事異動がしにくくなる」など)を、登場人物である「社長」や「人事部長」が代弁し、それに対して「人事コンサルタント」が丁寧に解説していくため、基礎知識を確実に押さえながら読み進めることができる。

■ 全4章のうち、まず第1章と第2章は職務給について詳しく解説している。職能給と職務給の違いや、職務給に関してよくみられる誤解、職務給により生産性が向上する理由など、包括的に理解することができる。本書の核となる第3章では、職務等級制度の具体的な構築方法を解説しており、職務分析のプロセスや人事考課の方法、賃金の決め方などを、実用的な資料を交えながら説明していく。そして最後の第4章では、制度構築後の運用上の留意点に言及している。ジョブ型人事の基本的なフレームワークを一通り押さえたいと考えている実務担当者にお薦めしたい一冊である。

会社が変わる!生産性が向上する! ジョブ型人事とは何か?

内容紹介
ジョブ型人事の基礎知識と導入・運用までの流れを中小企業の事例で理解する

~人事制度を変えるだけで本当に組織が活性化し、業績が向上する??~

理解しづらいとされる職務給について、筆者がこれまで多くの中小企業に導入してきた経験に基づき、職務給の検討、検討準備、構築、導入・運用というそれぞれの段階において、よく議論される内容を出来る限りリアルに表現。

人事制度改定で悩んでいる経営者はもちろん、職務給に抵抗感を抱くビジネスパーソンおよび人事を専門とされる方々の職務給に対する誤解が解けるものとなっている。