BOOK REVIEW - 『図解でわかる！　失敗しない人事制度の運用のしかた』

■ 時間と労力をかけて設計した人事制度が、社内であまり活用されていないことに悩んでいる人事担当者は少なくないと思われる。人事制度が効果的に活用されるためには、現場のマネージャーや一般社員に対して適切な行動を促す「運用」も大切だといえよう。本書は、500社以上の人事制度運用に関わってきたコンサルティング会社に所属する筆者たちが、人事制度構築をテーマにした前著『図解でわかる！　戦略的人事制度のつくりかた』に続き、汎用性がある人事制度運用の基本を体系的にまとめたものである。

■ 本書は、人事制度の運用・改善のポイントについて、三つのステップで解説している。まず、STEP1「運用課題の抽出」では、制度運用でよくある課題とそれに対する人事の反応を確認した上で、自社の解決すべき課題を抽出するための2択の質問が用意されている。STEP2「改善施策の設計」では、人事制度を現場に理解してもらうためのメソッドや、定量・定性評価における目標設計の方法、人事が現場に促すべき評価フィードバック面談のノウハウ等を解説していく。STEP3「定期モニタリング」では、現場に納得感を持って人材マネジメントを実施してもらうための、モニタリングと分析のポイントが述べられる。

■ 本書の特徴は、難解・抽象的になりがちな人事制度運用の施策を、図表や具体例を豊富に用いて読みやすく紹介している点にある。冒頭で述べたような運用面での悩みを抱える人事担当者が読めば、課題解決につながるヒントが見つかるだろう。また、前著も併せて読むことで人事制度の構築から運用、改善までのプロセスを体系的に学べることから、人事制度改定に初めて参画する担当者が読んでも大いに参考になると思われる。