三菱UFJ信託銀行から子会社「三菱UFJ代行ビジネス」(東京)に出向していた上司にメールなどでセクハラを受けたとして、元社員の30代女性が信託銀や同社、50代の元男性上司らに計約1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は25日、上司と同社に計約220万円の賠償を命じた。
伊藤由紀子裁判長は、入社から指導を受けてきた上司は女性にとって反対の意思表明が難しい存在だったと指摘。上司が「2人で海外旅行に行きたい」とメールを送ったり、食事に誘い続けたりした行為を「立場に乗じて不快感や困惑を与え、女性の職場環境や人格権を侵害した」と判断した。一連の行為は会社の事業と関連があったとして、同社の使用者責任も認定した。
判決によると、女性は入社3年目の2018年1月以降、上司から好意を示すメールなどを送られ、精神障害を発症。後に労災認定を受け、19年11月に退社した。
女性側は事後対応に当たった同社の人事担当者らのほか、信託銀への請求が棄却されたのを不服として控訴する方針。女性は判決後の記者会見で「事後対応のパワハラに一番苦しんだので、判決で認められず残念。私のように弱い立場の人が泣き寝入りしないで済む世の中になるように高裁でも闘いたい」と述べた。
(共同通信社)