厚生労働省は26日、会社員らが加入する厚生年金に関し、高所得者の保険料を引き上げる案を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)部会に示した。月収66万5千円以上の人が引き上げの対象となる。現行は月収63万5千円以上で保険料が頭打ちとなっている。保険料収入の増加で年金財政を改善させる狙い。保険料を折半する企業側は反発した。政府は2024年末までに結論を出す。
厚生年金の保険料は月収が多いほど増える仕組み。月収に応じて32段階の等級があり、最も高い等級の月収63万5千円以上で保険料の上限となっている。対象者は加入者全体の6・3%の約264万人。厚労省は月収66万5千円以上で新たな等級を設け、保険料の引き上げを検討する。将来受け取る年金額は増える。
健康保険組合など同様に会社員が加入する公的医療保険では、等級がより多く50段階で設定。最も高い等級は月収135万5千円以上となっている。これを念頭に、部会では「負担能力に応じて保険料を払うようにすべきだ」などと賛同する意見が出た。
一方、保険料を負担する企業側の日本商工会議所の委員は「人手不足の中で賃上げをしようとしている企業努力に水を差す」とけん制した。経団連の委員も「(負担増となる人への)配慮が必要だ」と強調した。
(共同通信社)