2024年01月26日掲載

BOOK REVIEW - 『社長、事業戦略より人材戦略を優先してください!』

岡田烈司、藤崎和彦 著
みらいコンサルティンググループ 
四六判/192ページ/1600円+税/かんき出版 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 大企業を中心に“ヒト”への投資=人的資本経営の取り組みが本格化する中、中小企業も人的資本経営、すなわち「人材戦略」に目を向けるべきだ、というのが本書の主張である。“ヒト”の少ない中小企業だからこそ、会社のパーパスに共感し、社長と同じ方向に向かう人材を増やしていくことで、安定的で継続的な成長が得られる、と筆者は述べる。本書ではそうした人材を「未来貢献型人材」と呼び、採用し育成するためのメソッドや考え方を幅広く紹介している。1000社以上に人事制度コンサルティングを提供し、果ては独自の人事評価システムまで開発した筆者らの知見が詰まった一冊といえるだろう。

■ 本書は全3章構成で、第1章ではVUCAの時代に求められる人材像や、現代の若者に自社を選んでもらうために必要な「共感採用」の重要性などに触れている。第2章では本書のメインテーマである「未来貢献型人材」の定義と、求められるビジネスマインド(未来貢献力)を9項目に分けて解説し、第3章では「未来貢献型人材」の採用と育成法をテーマとして、採用戦略の着眼点、1on1ミーティングや人事評価制度の活用法など、筆者らが所属しているみらいコンサルティングで顧客企業に提供してきた実例を用いながら、詳細にまとめている。

■ 本書では、「未来貢献型人材」の下地はすべての社員に内在するという考えの下、“育成”に重きが置かれている(第3章)。特に、1on1を成功させるための六つのポイントや、(業務進捗(しんちょく)とは別に)1週間の気づきや充実度(個人的・感情的な印象)、未来貢献活動などを報告させる「みらい式週報(ココロの共有)」といった実践的な取り組みが紹介されている点は魅力的だ。また、第2章で取り扱う「未来貢献力」についても、若手・中堅・管理職など、レイヤー単位で必要となる視点に触れており、育成・評価の目安となるだろう。社長だけでなく、人材戦略を担う実務担当者にもぜひ本書を手に取っていただきたい。

社長、事業戦略より人材戦略を優先してください!

内容紹介
会社は人材投資で9割変わる!

会社が目指す未来に共感し、時代の変化に対応した事業を起こしたり、新製品を生み出す。
社長と同じ方向性の視野・視座・視点をもって、社長の意思決定を補佐する―それが未来貢献型人材であり、彼ら・彼女らの育成こそが、会社の安定的で継続的な成長のための最大の武器になるのです。
本書は、中小企業が未来貢献型人材を採用し、育成し、会社の未来に貢献してもらうための会社としての取り組みや仕組みの作り方について解説します。