株式会社ヒューマン・クオリティー代表取締役
四六判/208ページ/1200円+税/朝日新聞出版
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 一般に研修の内製化は、セミナーや市販教材では補いきれない自社の実態に沿ったフォローが可能になる一方、社内の担当者にとって業務負担が大きい。本書は、担当者としてハラスメント防止研修のトレーナーを務めるに当たり必要な基礎知識、研修の設計方法、進め方から実施後のフォローまでカバーする。ハラスメントが組織全体に及ぼす影響や、人によってハラスメントに対する意識が大きく異なる背景、そもそもなぜ研修を実施する必要があるのかなど、トレーナー自身も納得できる解説が随所に盛り込まれている。
■ 本書内の解説は、そのまま研修に活用できるようにまとめられている。第1章では、パワハラ、セクハラ、マタハラに加え、優秀な社員が同僚に過度なレベルの成果を要求する「モラルハラスメント」や、上司の指導をハラスメントと訴えて全く受け入れない「ハラスメントハラスメント」など、11の事例が取り上げられている。各事例の中から不適切な対応を指摘し、望ましい適切な対応を提案する――という両面からフォローする。また、研修の設計方法を解説する第3章では、2時間の研修を階層別に実施することを想定して、研修内で示すレジュメやワークシートの例が示されているため、実際の研修用のスライドとして転用できるだろう。
■ ハラスメント防止研修は実施後が重要だ。最終章の第5章では研修後のアンケート項目の例や、受講者のその後の言動でチェックするべき点、相談窓口の運営について詳解する。研修を「やって終わり」ではなく、相手を尊重する風土づくりにつながるものとなるよう、社内で設計を意図する担当者にはぜひ手にしていただきたい1冊だ。
人事担当者のためのハラスメント防止研修ハンドブック ハラスメント防止研修の準備 実践 研修後まで 内容紹介 近年、大きな労働問題になっているのが職場で起きるハラスメント。 |