代表 寺澤康介
(調査・編集:主席研究員 松岡 仁)
ProFuture代表の寺澤です。
2月にマイナビが面白い調査結果を発表していますので、ご紹介します。大学4年/大学院2年以上で今年就職活動を終えた、もしくは現在活動中の子どもを持つ保護者1000名を対象にした「マイナビ 2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査」(Web調査)です。当社をはじめ、就活生向けの調査は多々ありますが、その保護者だけを対象にした調査は珍しいと思います。
それによると、“子どもが内定した企業から「オヤカク」(親への内定確認の連絡)を受けたか”という質問に対して、半数以上の52.4%が「受けた」と回答しており、直近3年間では微増傾向にあるとのこと。マイナビが実施した学生向けの調査で、内定先に関する意思決定の際に助言や意見を聞いた相手として、2位の「友人(学校内)」(23.9%)に大差をつけて、「父親・母親」が61.9%となっており、学生の意思決定への保護者の影響力の大きさに配慮した結果であろうと推測されます。
その他、親への連絡内容として、「保護者向け資料の送付」(8.6%)や「保護者向け説明会実施の案内」(2.2%)はかねてよりよく聞いていましたが、驚いたのはそれをはるかに上回る17.3%、実に2割近くの親が「内定式・入社式への招待」を受けていたということです。これまでも、フジテレビがアナウンサーとして入社が決まった子どもの親として著名歌手を招待したことが話題になったことはありましたが、一般企業でも珍しくなくなっているようですね。皆さんの会社でも保護者を「内定式・入社式へ招待」していますか?
8割以上が「2023年6月」までに就職活動を開始
さて、今回は、HR総研が新卒採用メディア「ONE CAREER」(株式会社ワンキャリア)と共同で実施した「2025年卒学生の就職活動動向調査」(2023年12月7~14日)の結果をお届けします。ぜひご参考にしてください。
まず、「就職活動を開始した時期」について見てみると、文系・理系ともに「2023年6月」が最多で、それぞれ37%、27%となっています[図表1]。主要な就職ナビがインターンシップ情報サイトとしてオープンするタイミングでもあり、これまでも6月が最多となることが通例でした。ただ、驚くべきことに、「2023年3月以前」から「2023年5月」までに、既に就職活動を開始していたと回答した割合が、文系で46%、理系では55%と半数以上にも及んでいます。「2023年6月」を合わせると、文系で83%、理系で82%と、文系・理系ともに8割以上の学生が2023年6月までに就職活動を開始していることが分かります。“2024年になってから”という学生もちらほらいますが、「2024年3月以降」と回答した学生は皆無です。
[図表1]就職活動を開始した(開始する予定の)時期
資料出所:HR総研×ONE CAREER「2025年卒学生の就職活動動向調査」(2023年12月、以下も同じ)
次に、「就職活動に対する印象(所感)」について聞いてみたところ、文系では「とても楽観している」と「やや楽観している」を合わせた「楽観派」(以下同じ)は29%となっているのに対し、「やや不安である」と「とても不安である」を合わせた「不安派」(以下同じ)は55%となっており、不安視している学生のほうが多いことが分かります[図表2]。理系についても同様で、「楽観派」が31%なのに対して、「不安派」は56%と、やはり不安視している学生のほうが多数派となっています。文系以上に企業からの引く手あまたの理系は、もう少し「楽観派」が多いかと思っていましたが、理系学生の意識はそうでもないようです。
[図表2]就職活動に対する印象(所感)
楽観する理由は「既に内定があるから」
「楽観派」、「不安派」にそれぞれその理由を聞いています(複数回答)。
まず「楽観派」の理由で最も多かったのは、文系・理系ともに「志望する企業の選考が順調に進んでいる」で、文系では唯一40%と4割に達し、理系でも33%となっています[図表3]。既に選考が進行していることがうかがえます。次いで、「インターンシップへの参加で有利になっている」、「就職活動への苦手意識がない」がいずれも文系36%、理系33%で続きます。「オンライン就活」を理由に挙げる割合も多くなっていますが、文系では「オンラインでの就職活動が可能となり、効率的に活動できる」(文系36%、理系15%)と効率性を理由としているのに対して、理系では「オンラインでの面接では自宅でリラックスして臨める」(文系8%、理系22%)とオンライン面接を理由とする声が多くなっています。
なお、「既に志望する企業から内定(内々定)が出ている」から、とした学生が文系で20%、理系では30%に及んでいます。就職活動の開始時期だけでなく、選考の進み具合、さらには内定取得時期が早くなっていることと、理系のほうが文系よりも早期に内定を取得している学生が多いことがうかがえます。
[図表3]楽観している理由(複数回答)
次は「不安派」の理由です(複数回答)。文系で最も多かったのは「面接が苦手」で69%と7割にも及びます[図表4]。次いで「内定を得られるか不安なので多くの企業にエントリーする必要がある」(58%)、「自分のスキルや能力等にニーズがあるか不安である」(44%)が続きます。一方、理系では「内定が得られるか不安で多くの企業にエントリーする必要がある」が最多で65%、次いで「面接が苦手」が63%と、順位こそ違うものの、上位2項目は文系と同じとなっています。
「自分のスキルや能力等にニーズがあるか不安である」は、理系では27%と文系に比べて低くなっている一方で、「研究が進んでいないので、就職活動との両立が難しい」は51%と半数の学生が理由としており、13%しかなかった文系に比べて顕著に高くなっています。身に付けた専門性が業務に直結しやすい理系では、スキル・能力へのニーズの不安はやや少ない一方で、研究との両立という点が大きな不安要素となっていることが分かります。
[図表4]不安である理由(複数回答)
さて、学生は、就職活動に関してどのようなチャネルから業界や企業、その他の情報収集を行っているのでしょうか。その情報源について聞いてみた結果(複数回答)が[図表5]です。最も多かったのは「企業のホームページ」の81%で、次いで「就職ナビ」が80%、「就活クチコミサイト」が58%の順となっています。
2022年12月に実施した調査と比較すると、前回最多だった「就職ナビ」が4ポイント減少し、逆に「企業のホームページ」が8ポイント増加したことで、トップの項目が入れ替わっています。「企業情報が掲載された書籍」(9%)、「新聞・雑誌」(8%)といった紙メディアは、前回同様、低い割合にとどまっており、情報収集はもっぱらネットに依存している傾向は、もはや変わることはなさそうです。
[図表5]就職活動に関する情報収集源(複数回答)
メガバンク人気が復活
次は、学生の「就職したい業界」のTOP10を文系・理系別に見てみましょう。
文系では「通信、ネットワーク」がトップで25%、次いで「メガバンク、信託銀行」が23%、「情報処理、システム開発」が20%となっています[図表6]。前回トップだった「総合商社、専門商社」は14%で4位に後退しています。2位の「メガバンク、信託銀行」は前回の8位から大きく順位を上げています。数年前には「メガバンク、信託銀行」人気が低迷し、「就職したい業界」の上位ではなく、「就職したくない業界」の上位にランクインしたこともありましたが、見事に復活を果たしています。低金利による収益の低下やネット銀行の台頭など、銀行を取り巻く環境は激しく変化していますが、新たなビジネスモデルの創出や、各種人事制度や働き方の改革などにより、銀行のイメージは随分変わってきているものと推測されます。
一方、理系では「情報処理、システム開発」が前回調査に続いてトップで20%、次いで「紙、パルプ、化学、素材」が17%、「電気機器、電気電子部品」が16%、文系でトップだった「通信、ネットワーク」も15%でそれに続きます。
文系と理系の両方でTOP10入りした業界は、「通信、ネットワーク」、「情報処理、システム開発」、「総合商社、専門商社」、「電力、ガス」、そして「公務員」の五つ。「公務員」は、前回調査では文系、理系のいずれにおいてもTOP10入りはしておらず、一般的には「公務員離れ」が叫ばれている中でのランクインとなります。これまで景気の後退局面では、民間企業を避けて公務員志望の学生が多くなる傾向はありましたが、現在はコロナ禍からの景気回復期でもあり、今回のランクインの背景は不明です。
[図表6]文理別 志望業界TOP10(複数回答)
業界の次は、具体的な企業の絞り込みについても確認しましょう。「入社を志望する企業の検討状況」について、文系では既に「決まっている」とした割合が38%、「業界の中で検討中」が43%、「決まっていない」が20%となっています[図表7]。理系でも傾向は文系とほぼ同様で、「決まっている」が40%、「業界の中で検討中」が36%、「決まっていない」が24%となっており、文系・理系ともに入社を志望する企業が「決まっている」学生は約4割にとどまっています。
残りの約6割の学生は、これから志望企業を検討する段階です。母集団形成の段階にある企業にとっては、このようにまだ志望企業が定まっていない学生に向けて、自社に振り向いてもらうための継続的なPRが有効であると言えます。
[図表7]入社を希望する企業の検討状況
転職は「スキル・経験を積んでから」の理系
学生の「転職」についての意識も確認しておきましょう。[図表8]は、将来の転職を視野に入れた企業選択をしているかどうかを聞いた結果です。文系では「している」が32%、「していない」が68%となっており、新卒での就職活動の時点で転職を視野に入れている学生の割合は3割程度となっています。一方の理系でも、「している」は26%となっており、文系よりやや少ないものの、こちらも3割近い学生が新卒の就職活動の時点で転職を視野に入れていることが分かります。
[図表8]将来の転職を視野に入れた企業選択
では、転職を視野に入れている約3割の学生は、「入社してから何年以内に転職したい」と考えているのでしょうか。
文系では「3年以内」が7%、「3~5年以内」が36%となっており、転職を視野に入れている学生の4割以上が5年以内の転職をイメージしていることが分かります[図表9]。一方、理系では「3年以内」が4%、「3~5年以内」が22%となっており、5年以内の転職をイメージしている学生は3割以下となっています。専門職を志望する学生が多い理系では、転職を視野に入れていたとしても、最初の会社である程度腰を据えてスキルや経験を積むことを重視する割合が多いと考えられそうです。
入社してから何年で転職したいかに関して、最も多かったのは、文系・理系ともに「5~10年以内」で、文系の43%に対して、理系は61%と6割を超えます。さらに、それよりも長い「10年以上先」(「10~20年以内」と「20年以上先」の合計)は、文系・理系ともに13~14%で、同程度となっています。
[図表9]入社してから何年で転職したいか
ChatGPTなどの生成AIの就職活動への活用状況(複数回答)について見てみましょう。活用方法としては、「インターンシップのエントリーシート作成・添削」が最多で31%、次いで「自己分析」が25%、「採用選考のエントリーシート作成・添削」が23%などとなっています[図表10]。一方で、「就職活動に生成AIを使う予定はない」が46%となっており、半数近くの学生は活用していない(活用する予定はない)ことも分かりました。
ただ、今後採用選考のエントリーシート提出など、就職活動が本格化していく中で、この割合が変化していくことは十分に考えられます。採用活動をする企業側としては、“生成AIの力を借りているかもしれない”エントリーシートや課題レポートなどをどう扱うのか、評価方法をこれまでと変えるのか・変えないのか、検討が必要となってきています。
[図表10] 生成AIの就職活動への活用(複数回答)
半数近くが「10社以上」のインターンシップに参加
ここからはインターンシップ(1day仕事体験を含む)への取り組み状況を見ていきます。
まずは、「インターンシップ参加社数」です。文系では、「10~19社」が24%で最も多く、次いで僅差で「20社以上」(23%)が続き、両方を合わせた「10社以上」(以下同じ)の割合は47%と半数近くに上ります[図表11]。なお、前回調査では、「10社以上」は27%にとどまっていました。今回調査では20ポイントも増えており、学生のインターンシップ参加社数がさらに伸びている様子がうかがえます。また、「4~6社」、「7~9社」の割合がいずれも20%あり、これらを合計した「4社以上」の割合は86%にも達しました。今や「3社以下」(「0社」~「3社」の合計、以下同じ)は極めて少数派となっています。
一方、理系で最も多かったのは「4~6社」の22%で、次いで「3社」16%、「10~19社」15%と続きます。「10社以上」は27%にとどまり、文系とは20ポイントもの開きがあるものの、前回調査(22%)からは5ポイント増えています。ただ、「3社以下」の割合を見ると、38%と4割近くもあり、こちらも前回調査(32%)からは6ポイント増えています。理系のインターンシップ参加社数においては、「拡大派」と「絞り込み派」の二極化が起こっているようです。
[図表11]インターンシップ参加社数
次に、参加したインターンシップの社数について実施形式別で見てみると、「対面型」のインターンシップについては「4~6社」が24%で最多となっており、「3社以上」(「3社」~「20社以上」の合計)参加した学生の割合は48%と、半数近くに及ぶことが分かります[図表12]。前回調査では「対面型」のインターンシップに「3社以上」参加した学生は27%にとどまっており、今回調査では20ポイント以上も増えていることになります。逆に、「0社」の割合は、前回調査の22%から12%へ10ポイントも減少するなど、インターンシップの参加形式が、コロナ禍で広まった「オンライン型」から「対面型」への回帰傾向にあることがうかがえます。
一方、「オンライン型」では、最多は「対面型」と同じく「4~6社」の22%であるものの、「10~19社」が19%、「20社以上」も10%であり、両方を合わせた「10社以上」の割合が3割近くと、前回調査(20%)から9ポイント増えています。「対面型」に比べてインターンシップの定員数自体が多いことや、移動の手間がないなどの手軽さから参加のハードルが低く、参加社数を引き上げているようです。このように、参加したインターンシップの大半は「オンライン型」であることは依然として変わりません。一方で、「0社」と回答した割合が前回調査の3%から8%へと増えていることは、「対面型」しか参加したことのない学生の増加を示しており、ここからも「オンライン型」から「対面型」への回帰傾向が見て取れます。
[図表12]インターンシップの形式別参加社数
インターンシップに選考優遇を求める学生たち
学生が参加したインターンシップの形式別に日数タイプを比べてみた結果が[図表13]です。
対面型では「2~4日程度」が最多で62%、次いで「1日」が60%で6割を超え、「半日」(33%)と「1週間程度」(32%)も3割を超えています。「三省合意」の改正を受けて、職場での就業体験を含めた5日間以上の実施期間など一定基準を満たすインターンシップに参加した学生情報を採用活動に活用できるようになったことから、「1週間程度」以上の日数タイプのインターンシップを開催する企業が増えました。「1週間程度」以上の期間をすべて合計すると43%と、参加した学生の割合は4割を超えるまでになっています。
一方、オンライン型では「1日」が最多で75%、次いで「半日」が63%となるなど、1日完結型が主流となっています。これらは正式にはインターンシップではなく、「1day仕事体験」と呼ばれるもので、企業や業界の説明等がメインとなることが多いため、オンラインで気軽に参加したい学生が多いことがうかがえます。ただ、オンライン型でも、「2~4日程度」の複数日程タイプについて、56%と半数以上の学生が参加した経験を持っているようです。
[図表13]参加したインターンシップの形式別日数タイプ
ところで、学生はどのような観点で参加するインターンシップを選択しているのでしょうか。「インターンシップ選定で重視すること」を聞いてみたところ(複数回答)、「就職したい業種であること」(81%)、「就職したい企業であること」(78%)の二つの項目が8割程度の学生から選ばれています[図表14]。就職活動の早期には、志望する「企業」を具体的に絞り込めていない場合もあり、まずは関心のある「業種」であることが大切なようです。続いて、「プログラム内容」(52%)や「仕事体験」(47%)を抑えて、「採用選考で優遇される可能性があること」が56%と高い割合になっています。半数以上の学生において、インターンシップが単に業界理解や仕事理解のためだけでなく、早期選考に参加できたり、一部の選考ステップが免除されたりするなど、採用選考で何らかの優遇や特典につながっていることが望まれているようです。
[図表14]参加するインターンシップ選定で重視すること(複数回答)
インターンシップの内容で最も重視していること
後述しますが、「インターンシップの内容で最も重視していること」についてフリーテキストで回答してもらった中にも、選考に関わる記載がありましたので、抜粋して挙げてみます。
・本選考への優遇があるか(文系、上位私立大)
・インターンシップ経由で選考の優遇があるのが、最も重要な点である(理系、早慶大クラス)
・自分が興味を持っている業界・職種について詳細な知識を得たり、選考の優遇を得たりすること(文系、旧帝大クラス)
・選考に有利であるかどうか(理系、上位国公立大)
・早期選考に呼ばれるなど、何かしらの優遇があること(理系、旧帝大クラス)
・自分が将来入りたい業界で、やりたい・興味のある実務体験ができる点、かつ早期の案内等の優遇がある点(理系、中堅私立大)
・今後、インターンに参加しない限り入社できないような仕組みが主流になっても良いと思う(理系、早慶大クラス)
・選考を有利にするためにインターンシップに参加しているため、特に内容は気にしていない(文系、上位国公立大)
・行きたい企業であり、選考に有利に働くかどうかを重視している(文系、上位国公立大)
・インターンにとどまらず、選考のステップに乗るきっかけになること(文系、上位私立大)
・選考のスキップなど優遇があること(理系、旧帝大クラス)
・ホームページを見ただけでは分からない会社説明や企業情報をまず知りたい。選考優遇があるなら、なおさら参加したい(文系、上位私立大)
今後、インターンシップ参加者の獲得競争がさらに激化することが予想される中、インターンシップの募集情報に、可能な範囲内で参加メリットについても記載することが有効なようです。ただ、就職ナビに掲載する募集情報では記載内容に制約があるでしょうから、記載内容を自由に展開できる自社HPでの募集に注力することが求められそうだと言えます。
社員とのコミュニケーション、実務体験ワークが人気
さて、学生はインターンシップにどんなプログラムを求めているのでしょうか。フリーテキストで回答してもらった「インターンシップの内容で最も重視していること」を抜粋して紹介します。「社員とのコミュニケーション・座談会」や「実務体験・ワーク」を挙げる声が多くなっています。
【社員とのコミュニケーション・座談会を重視】
・志望する職種の仕事体験ができること。説明会がメインのインターンシップもあるが、それは説明会として実施をすればいいわけで、せっかくのインターンシップなので自分の体験したい仕事をすることで働くイメージを明確化したい。さらに、社員の方と交流したい(理系、旧帝大クラス)
・企業の説明や社員との交流・コミュニケーションを通じて、会社や業界の課題・ニーズについての理解を深め、入社後の仕事内容をある程度イメージできるようになること(理系、その他国公立大)
・その企業の想いや色が伝わることです。理念に対して、社員がそれぞれ自分の形で語ることができている企業がいいと考えています(文系、上位私立大)
・社員の皆さまと関われる時間、グループワーク(文系、早慶大クラス)
・社員の方のお話を直接聞けること(理系、旧帝大クラス)
・社員の方のキャリアの歩み方を知ること(文系、その他国公立大)
・実際にどのような働き方をしているのか、直接社員さんの言葉で聞くこと(文系、上位私立大)
・実際に社員の方々とコミュニケーションを取れること(理系、中堅私立大)
・実際に社員と交流し、話を聞くことができること(理系、旧帝大クラス)
・座談会や、職種別のインターンであること(文系、上位私立大)
・実際の業務内容ができること、社員さんに深掘り質問ができることが重要(理系、上位国公立大)
【実務体験・ワークを重視】
・グループワークや実務体験を通じて、社員の方のフィードバックがより具体的にもらえ、それがその後の選考に生かせること(文系、上位私立大)
・どの業界の就活を行うに当たっても、ロジカルシンキングとグループワークは必須なので、企画立案やCXO視点でそういった力を養えて、フィールドバックももらえるインターンは大変魅力的。就活の早い段階では、上記の素養を養えるかどうかを最も重要視していた(理系、旧帝大クラス)
・志望する企業の職務について深い理解を得られること(理系、早慶大クラス)
・ケースワークはスキルアップにつながるので重要だと思う(文系、旧帝大クラス)
・具体的な業務が体感できるようなワーク(文系、旧帝大クラス)
・実際の業務を体験できること(理系、旧帝大クラス)
・現場見学(理系、旧帝大クラス)
・実際にものづくりを体験できるかどうか(理系、早慶大クラス)
・職種理解を深められるワークが含まれていること(理系、旧帝大クラス)
・将来、自分が志望職種で働いているイメージを持てるインターンシップが、最も得られるものが多いと思います(理系、上位国公立大)
【その他】
・内容はもちろん、学生人数や選考も大切にしている(理系、その他私立大学)
・“何をするか”も大切だが、“誰とするか”に重きをおいて参加すること(理系、その他国公立大)
・会社の雰囲気を知ること(理系、旧帝大クラス)
・インターンシップでしか得られない情報を得ること(文系、旧帝大クラス)
12月時点で、4人に1人が内定保有
次に、2023年12月の時点で、どの程度の割合の学生が選考(面接)段階にまで進んでいるのかを確認してみましょう。「0社」、つまりまだ面接に進んでいない割合は、文系では28%と3割を下回り、理系では41%となっています[図表15]。逆に言えば、文系の7割、理系の6割が既に面接に進んでいるということが分かります。
面接した企業数では、文系・理系ともに「1社」が最多ではあるものの、割合としてはそれぞれ17%、20%と2割程度にとどまっています。一方、既に複数社と面接している学生の割合は、理系で39%、文系に至っては55%と過半数に上っています。特に文系では面接に進んでいる学生の割合が多く、既に「10社以上」の企業と面接した学生の割合が1割近くにもなっています。
[図表15]2023年12月時点で採用選考(面接)を受けた社数
面接に進んでいる学生を対象に、そのうちインターンシップを経由して面接に進んだ企業数を確認したところ、文系では「3社」が25%で最も多く、次いで「1社」が21%となっています[図表16]。一方、理系では「1社」と「2社」がともに23%で最多となっています。中には、「10~19社」というつわものも、文系・理系ともに2%ほどいます。
「0社」、つまり「面接には進んでいるものの、インターンシップ経由の企業は1社もない」と回答した割合は、文系で11%、理系で21%にとどまり、早期の面接選考はインターンシップ参加がきっかけになっているケースが大半であることがうかがえます。
[図表16]インターンシップを経由して面接に進んだ社数
[注]「20社以上」という回答はなかった。
最後に、2023年12月の時点で既に内定(内々定)を保有している学生の割合はどの程度なのでしょうか。「(内定が)ある」と回答した割合を前回調査と比較してみると、2024年卒が12%だったのに対して、今回は24%と倍増しており、12月の時点で4人に1人が内定を保有していることが分かりました[図表17]。
年々、採用活動の早期化が叫ばれていますが、2025年卒採用の内定出しタイミングは、予想以上に早期化が進行しているようです。ただ、内定が出たからと言って、すぐに就職活動を終了する学生ばかりではありませんから、2024年卒採用でも見られた内定辞退や内定承諾保留の学生がさらに増えることが予想されます。
[図表17]2023年12月時点での内定(内々定)の有無
寺澤 康介 てらざわ こうすけ ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長 1986年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。2007年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。 著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。 https://www.hrpro.co.jp/ |