株式会社メッセホールディングス COO(最高執行責任者)、
株式会社リンクアンドモチベーション インキュベーション推進室 室長
四六判/192ページ/1600円+税/プレジデント社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 優れた組織とはどのようなものであろうか。カリスマ性を備えたリーダーが、強烈なリーダーシップを発揮して組織を束ね、成果を上げていく――そのようなイメージを持つ人も少なくないだろう。しかし、本書で語られるのは、“普通の人が、最高の組織をつくる方法論”である。筆者の一人である宮本氏が在籍するメッセホールディングス(以下、メッセ)は、まさに“普通の人たちによる普通の企業”でありながら、もう一人の筆者である白木氏が所属するリンクアンドモチベーション(以下、LM)の普遍的な組織論を学び、“3年連続エンゲージメント日本一”という快挙を成し遂げた。本書は、その成果に至った理論と実践例を、体系立てて分かりやすく説いたものである。
■ 組織Xの“X”には“組織のトランスフォーメーション”“メッセの実践例とLMが掲げる組織論”“今までにない、新しいかけ算型の組織論”の三つの意味が込められている。第1章では、宮本氏がメッセを組織Xへと導いた軌跡を述べており、続く第2~7章で「組織X」を実現するためのフレームワークを解説する構成となっている。中でも、第3~6章では「経営の4P」と、それに紐づく12の原則が、第7章では「経営の4P」をつなげるための「4つのC」と、それに紐づく12の原則が取り上げられており、これら24の原則によって組織Xの実現が可能だとしている。
■ さらに、第3~7章ではPrinciple(原則)とCase(メッセの企業事例)が1セットで紹介される。例えば第7章では「理念策定(Philosophy)」と「戦略策定(Positioning)」という二つのPをつなぐCとして、理念と戦略を統合した他社にない「企業個性(Corporate-identity)」が必要だと述べられるが、メッセはこれを「居場所屋」と定めて、理念と戦略を結び付けている。このように、抽象的な組織論を、企業の現場で実際にどう実現していくかが述べられるため、読者も具体的なイメージがしやすく、実践につなげやすい流れとなっている。本書を活用し、組織マネジメントを見直す契機としていただきたい。
組織X 「エンゲージメント」日本一3連覇企業が語る、24のメソッド×事例 内容紹介 「何のために経営しているのか、わからない」 こうした悩みを抱える経営者やビジネスパーソンは、数多くいらっしゃるでしょう。 |