株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長
四六判/224ページ/1500円+税/東洋経済新報社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 2010年代に、劣悪な環境で労働者を酷使する「ブラック企業」が社会問題化したが、働き方改革が進んだ結果、以前より働きやすい環境が整備されてきた。しかし、楽に働ける一方でやりがいがなく、成長実感を得られない「ゆるブラック企業」が、若手社員の退職を招く新たな原因として浮上している。「厳しく教えても、優しくしすぎても辞めてしまうなら、どのように指導すればいいのか」――。本書は、こうした悩みを抱くマネジャーに対して、部下と良好な関係を築きつつ、一人前に育てるマネジメント方法を解説する。
■ 著者は、時代や環境に応じた適切な「バランス」を見つけること、いわば「ちょうどいい」マネジメントを模索することが大切だと主張する。本書では、さまざまな場面で求められる、コミュニケーションやマネジメントの「バランス」が説明される。例えば、厳しくするときと、優しくするときの「バランス」はこうだ。まずは部下に期待をかける。その期待に応えようと部下が頑張って、一定の基準を超える成果が出たら褒める。逆に、期待に応えないどころか「当たり前の基準」を下回るようなら、即時に行動を変えるように叱るべきだとする。他にも、“スピード”と“完成度”、“強みを伸ばす”と“弱みの克服”、“今までのやり方”と“新しいやり方”など、11の場面における「バランス」が解説されている。
■ 本書の特徴は、200社以上の組織改革に携わってきた著者が、経営コンサルタントとしての経験や学術的理論を根拠としつつ、現実的な「バランス」を示している点だ。そのため、具体的なマネジメントの場面や実務に落とし込みやすい構成になっている。部下との関係構築に悩むマネジャーが本書を読めば、即実践できるヒントが得られるだろう。
若者に辞められると困るので、強く言えません マネジャーの心の負担を減らす11のルール 内容紹介 「優しく接していたら、成長できないと不安を持たれる」 部下と良好な関係を築きつつ、一人前に育てる 第1章 「優しさ」と「厳しさ」のバランスは? |