2024年04月12日掲載

BOOK REVIEW - 『人口減少時代に経営を強くする 人事のためのデータの見方・使い方』

林 明文 編著
株式会社トランストラクチャ 顧問 
A5判/220ページ/2700円+税/中央経済社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ HRテクノロジーの活用や人的資本開示に向けた人事データ利用が進む中、人事にはデータを正しく理解し、施策を検討する力が求められる。本書は組織・人事コンサルティングのプロが、政府統計など公開されている調査・統計データから人事の意思決定のよりどころとして有用なデータをえり抜き、それぞれの見方と使い方を紹介する。

■ 第1章は「人口と雇用に関する主要データ」を扱う。例えば、日本の人口ピラミッドからは少子高齢化の進行と生産年齢人口の減少がうかがえるが、これらの課題を乗り越えていくために、自社の社員構成の再認識など、必要となる人事管理がどういうものかを具体的に考察。さらに施策事例として、中高年層のリスキリング、女性のキャリア形成支援、外国人労働者の積極的採用がどう有効に作用するかを解説している。第2~6章も同様に、データの考察とそれに対応した施策事例を紹介しており、テーマとして「労働市場」「分配」「働き方の多様化」「人的資本」「人事管理」を取り上げている。第6章までは定期的に把握すべき経年データを中心に解説した上で、最終章の第7章では「その他関連データ」として、家族手当の検討ベースになり得る世帯人員の推移など、会社の状況に応じ参考となるデータを紹介する。

■ 人事管理を機能させるためには、定量的に自社の人事管理のレベルを測定し、外部のデータを制度構築や運用に活用すべきであると著者は指摘する。政府統計をはじめとする統計データは近年容易にアクセス可能になった一方、情報の取捨選択や活用が難しい面もある。人事管理の見直し、また人的資本経営推進の基礎資料として、人事担当者や経営者が把握すべきデータが網羅されている本書は、外部環境の変化に対応した人事施策の検討に大いに役立つと思われる。

人口減少時代に経営を強くする 人事のためのデータの見方・使い方

内容紹介
経営課題は、データに基づく合理的な人事管理が解決する!
経営者・人事担当者必携! 具体的な施策例を多数紹介。

経営者や人事担当者に向けて、感覚的・定性的ではない、データオリエンテッドで合理的・定量的な人事施策を行うために必要な統計データを示し、その見方と使い方をやさしく解説する。具体的な施策例も多数紹介。