2024年04月12日掲載

BOOK REVIEW - 『問題社員の正しい辞めさせ方 増補版』

新田 龍 著/安田隆彦、野崎大輔 監修
働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役/
アクト法律事務所 パートナー弁護士、日本労働教育総合研究所 所長 

A5判/312ページ/1800円+税/リチェンジ 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 企業規模を問わず、入社後に問題行動を起こし、組織の秩序を乱したり、企業のブランドを毀損(きそん)したりする社員は一定数存在する。そのような問題社員であっても、日本では容易に解雇できないのが現実であり、このことで頭を悩ませている人事担当者や現場のマネジャーは少なくないだろう。本書は、この現状に一石を投じ、“問題社員を合法的かつ()めることなく辞めさせることができるか”を、企業防衛の専門家である著者が弁護士と社会保険労務士の監修の下、解説したものだ。

■ 本書は3章構成で、概要編では、解雇が難しい現状や解雇時のリスク等を示しつつ、「北風方式」「太陽方式」といった筆者独自の言い回しで、退職勧奨のスタンスを紹介する。実践編では「就業規則の整備」「人事異動・配置転換」など、八つのSTEPで「合法的な問題社員排除の進め方」を詳説。STEP1~2で“全社員に対して行っておくべき事項”を、STEP3~8では、問題行動を起こした社員に対する具体的な対処法を法律論を前提にまとめている。特に興味深いのが概要編でも触れられている「太陽方式」という手法である(STEP8)。これは“「徹底的改善指導」を通して自主退職に至らせる、もしくは社員の行動を改善させる”という切り口でのアプローチであり、実際の成功事例も紹介されている。さらに予防編では、トラブルを防止するための効果的な対策として採用や面接の見直し方法や、組織内のコミュニケーションにおける留意点などを取り上げている。

■ 本書は、2021年に初版を発行。今回の増補版では、退職勧奨のトラブル事例、ジョブ型とメンバーシップ型の雇用、世界に見る日本の解雇を巡る対応など、最新の情報に合わせた事例やコラムを追加している。コラムでは「問題社員のタイプ別対処方法」として、退職勧奨や懲戒処分に至る前段階の対応にも触れられており、参考になる。

問題社員の正しい辞めさせ方 増補版

内容紹介
問題社員に悩む人の気持ちに寄り添った具体的で建設的な解決方法を伝授

2021年に発売後、着実に売れ続けて『問題社員の正しい辞めさせ方』の増補版が発売!

退職勧奨のトラブル事例、ジョブ型とメンバーシップ型の雇用、世界にみる日本の解雇をめぐる対応など、最新の情報に合わせて事例やコラムを追加しました!

労務トラブルにおいて最も深刻かつ件数も多い「退職」と「解雇」問題を、合法的かつ揉めることなくスムースに解決したいという底堅いニーズに応える1冊!