H・Rサポート代表
四六判/192ページ/1400円+税/ぱる出版
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 本書が「嫌われる上司」とするのは、部下から「あの人に何を言っても無駄」と思われている上司のことだ。部下が上司にポジティブな感情を抱いていないことが原因で指摘を素直に受け入れず、相談もしないとなると、上司にとってはマネジメントに支障が出る上、仕事の生産性自体も落ち、大問題である。一方で「嫌われない上司」は「部下も上司もお互いが過ごしやすい関係性」を築けるため、上司自身が楽になるという。
■ 上司世代が若手社員として過ごした時代は「上司の言うことは正しい」とされていたが、Z世代は「上司以外」の「正しい」を持っており、そもそも互いの価値観が理解し合えていない──と著者は指摘する。会社として大事にすべき価値観を継承することも重要であり、上司は安易に迎合する必要はない。一方で、相手の立場に立って考える「パースペクティブテイキング」や、継続的な「アンラーニング」による価値観のアップデートが必要であるとする。本書前半の第1章と第2章では、Z世代と上司世代のすれ違いの現状を踏まえつつ、Z世代にとっての「正しい」を理解するため、社会的背景に焦点を当てる。
■ 第3章は「自分の成功体験を妄信している上司」「業績至上主義上司」など7タイプの「嫌われる上司」のエピソードで構成される。上司と部下の会話内容の裏に隠された部下の心の声を明らかにしながら、互いの関係を強化するためのノウハウや上司が取るべきコミュニケーション技術、建設的なフィードバックの方法を具体的に解説する。最終章の第4章は、上司世代が研修等で知識やスキルを学んでいるにもかかわらずうまく実践できない理由を、「傾聴」「評価力」「適応力」の三つの視点から分析する。上司自身がZ世代とのギャップを改めて認識し、部下とのコミュニケーションのヒントを得るために読んでおきたい一冊だ。
内容紹介 今も昔も変わらず、上司が「部下は何を考えているか分からない」という悩みがあるものです。 本書では「あの人に言っても無駄」という状態に陥ってしまった上司のことをわかりやすく「嫌われる上司」と呼んでいきます。「Z世代」とはどんな考えを持っているのか? |