2024年04月26日掲載

BOOK REVIEW - 『「儀式」で職場が変わる 働き方をデザインするちょっとヘンな50のアイデア』

クルシャット・オゼンチ、マーガレット・ヘイガン 著/齋藤慎子 訳
スタンフォード大学dスクール 講師 
B5変形判/272ページ/2400円+税/英治出版 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 日々の仕事の中で、「最近の決定事項や出来事について、不平不満、うわさ、失望感が表面化しつつある」「意見が対立して、互いの否定的態度にチームメンバーが疲弊している」「別の場所にいるメンバー同士の親交を深めたい」といった場面はないだろうか。このような状況の打開策を多く含む本書は、デザイン等を専門とするコンサルタント、研究者が、日々の仕事に新しいエネルギーをもたらし、コミュニティを育むのに役立つ「儀式」を紹介するものである。

■ 本書では「儀式」を、特定の状況で、毎回同じような形式や台本に従ってなされる行為を指し、意図を持ち意識的に行うものと定義する。具体的には、①クリエイティビティやイノベーションを引き出す、②パフォーマンスの向上やフローにつながる、③対立の解消やレジリエンスの向上につながる、④コミュニティやチームづくりにつながる、⑤組織の変革期や転換期に適応を促す──の5タイプに分けて提示。収録された50の儀式には「ゾンビ企画蘇生園」「機内モードの午後」などユニークな名前が付けられている。Amazonなど有名企業で実際に行われているものも多数取り上げ、実施に必要な道具や具体的なやり方、取り組みの難度などを簡潔に説明している。

■ 筆者らは米国のスタンフォード大dスクールで「儀式デザイン」の講義を担当し、企業や公共部門と協力して、仕事におけるエンゲージメントの低下に関する問題への対応策を研究している。一連の研究で得たさまざまな知見を凝縮した本書は、組織の変革や問題に向き合う助けを得たいとき、あるいはちょっとしたレクリエーションを行う際にも使えそうなヒント、アイデアの宝庫といえる。職場文化を意図的に創造したい管理職や組織開発担当者、人材育成担当者など、幅広い層に読んでいただきたい一冊だ。

「儀式」で職場が変わる――働き方をデザインするちょっとヘンな50のアイデア

内容紹介
スタンフォード大学の注目研究!
日常に儀式を取り入れると、オフィスが創造と協働の場に変わる

・Amazon 初期アイデアを「雑誌の表紙」風にして盛り上げ
・IDEO M&Aを「組織の結婚式」でお祝い!?
・Pinterest 社員の個性を輝かせる「特技フェス」
・Dropbox 新入社員1000人に「手づくりケーキ」プレゼント

世界のトップ企業も実践する独自の儀式!
より良い職場文化(ワークカルチャー)を創造するための儀式を個人・チーム・組織、シチュエーション別に提案。

働き方の多様化・個別化がますます進むなかで、職場での場作りやコミュニティ形成のヒントが詰まった一冊!