2024年05月13日掲載

採用担当者のための最新情報&実務チェックポイント - 2024年5月

ProFuture株式会社/HR総研
代表 寺澤康介

(調査・編集:主席研究員 松岡 仁)

 ProFuture代表の寺澤です。
 今年4月には、新卒社員が退職代行サービス(以下、代行サービス)を利用している件が、何度もニュースで取り上げられました。中には、入社前から内定を辞退するために代行サービスを利用する就活生までいたそうです。「退職代行モームリ」を運営する株式会社アルバトロスによると、4月1~18日に新卒の社員129人から申し込みがあったとのことです。1年前の2023年4月は1カ月間で18人だったことを考えると、大幅に増加しています。主な退職理由は、「業務内容や雰囲気が合わない」が半数近くを占め、次いで「事前説明と実態の乖離(かいり)」が約2割となっています。2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、流行も落ち着いてきたことで、インターンシップやセミナー・会社説明会、面接などの開催がオンラインから対面に戻ってきており、ここ数年と比べると、企業と学生のコミュニケーションギャップは減少しているはずです。それでも、このような代行サービスの利用が急増しているのは驚きです。採用した企業側からすると、本人から直接ではなく、代行サービス会社経由での退職連絡となり、本当の理由が分からず、仮に労働者側に誤解があって決断をしたとしても、会社としてはこれを解消できないまま退職手続きを進めざるを得ません。非常に残念な状況です。退職意向は、代行サービス会社経由ではなく、本人から直接伝えてもらえるような信頼関係づくりが、今後ますます重要になってくるでしょう。募集から選考、そして内定者フォローという採用活動の一連の流れの中で、この信頼関係づくりが成功するかどうかの分かれ目がどこにあるのかを、しっかり検証していく必要がありますね。

大企業の半数以上が2023年内に面接開始

 さて、今回は、HR総研が企業の採用担当者を対象に実施した「2025年新卒採用動向調査」(調査期間:2024年3月4~19日)の結果の続きをお届けするとともに、「楽天みん就」(現「みん就」)と共同で実施した「2025年卒学生の就職活動動向調査」(同:2024年3月6~21日)の結果の一部を紹介します。ぜひ参考にしてください。
 まず、「2025年新卒採用動向調査」結果から、選考面接の開始時期を見ていきましょう。
 従業員規模別に見ると、1001名以上の大企業では、「2023年10月」と「2023年12月」、「2024年1月」がそれぞれ15%で最多でした。次いで「2023年6月以前」が13%となり、合計で54%が2023年内に面接を開始していました[図表1]。前年同時期に実施した「2024年新卒採用動向調査」では、2022年内に面接を開始した大企業は31%だったことを踏まえると、実に20ポイント以上増加しており、大企業における採用活動の早期化がますます進んでいることが分かります。
 一方、301~1000名の中堅企業と300名以下の中小企業では、採用広報解禁の「2024年3月」がともに20%で、大企業はその半分の10%にとどまります。2023年内に面接を開始した企業は、中堅企業30%、中小企業27%と大企業の約半分でした。中小企業では、「2024年7月以降」が28%で最多となるなど、大企業との採用活動時期の違いが明らかです。

[図表1]2025年卒採用の選考面接の開始時期

図表1

資料出所:HR総研「2025年新卒採用動向調査」(2024年3月、[図表2~11]も同じ)

 次に、学生の就職志望度に大きな影響を与える面接官について見ていきましょう。面接官の態度や面接内容によって、学生の就職志望度がさらに向上することもあれば、逆に志望企業群から外されてしまうことすらあります。しかし、面接官が人事部門の社員なのか、その他部門の社員なのか、面接官から自己紹介がない限り、学生には判別できません。通常は人事部門の社員として受け止められることが多いと思われますが、いずれにせよ面接では禁止されている、あるいは避けるべき差別的な質問をしたり、横柄な態度を取ったりすれば、その企業のイメージは大きく損なわれてしまいます。
 企業はそのことをどこまで認識して、面接官にどのような対策を講じているのでしょうか。従業員規模を問わず最も多く実施されているのが「説明資料の配布、メール送信」で、大企業は69%と約7割に及び、最も実施割合が低い中小企業でも47%と半数近くの企業で実施されています(複数回答)[図表2]。次いで「面接官を集めた説明会」であり、大企業では41%に上りますが、中堅企業では半分の20%、中小企業ではさらに少ない16%にとどまります。「面接官を集めた社内勉強会を実施」は大企業で3割近くですが、中堅企業・中小企業では1割に満たず、「外部講師を招いた面接官研修を実施」は大企業でさえわずか5%にとどまります。
 一方で、「特に何もしていない」と回答した企業が中小企業で45%と5割近くもあることが目を引きます。中には、面接に携わる人間が人事担当者と経営者に限られるようなケースもあるのでしょうが、それでも、面接手法というテクニック論ではなく、その年の「求める人材像」や「訴求ポイント」を確認するなど、何らかの事前準備は必要不可欠でしょう。面接は、自社に合う人材かどうか、学生の資質を判断するだけでなく、入社へのモチベーション形成の大切な機会でもあります。「特に何もしていない」と回答した企業の担当者には、事前準備の重要性を伝えていく必要があります。

[図表2]面接官に向けた施策(複数回答)

図表2

内定出しを早めるなら「1カ月超」が大多数

 次に、内定(内々定)出しの開始時期を見ていきましょう。従業員規模別に見ると、大企業では「2024年4月」が23%で最多となっています[図表3]。しかし、実際には「2024年2月」までに内定出しを開始している企業が56%と6割近くに達しています。「2024年4月」どころか、就活ルール上では採用広報解禁となる「2024年3月」に内定出しを開始する企業でさえ、 “後半組” と言えそうなペースとなっています。
 中堅企業も「2024年4月」が15%で最多ですが、その前後の「2024年3月」と「2024年5月」がいずれも13%、さらにその前後となる「2024年2月」と「2024年6月」がいずれも10%となるなど、「2024年4月」を中心に前後にピークを形成しています。ちなみに、内定出しを開始した企業割合が50%を超えるのは「2024年3月」(53%)となりますので、ピークの「2024年4月」は既に “後半組” になります。
 中小企業では、「2024年7月以降」が27%で最多ですが、同時期でピーク形成とは言えません。強いて挙げるなら2番目に多い「2024年3月」(16%)以降となるでしょう。なお、内定出しを開始した企業割合が50%を超えるのは「2024年4月」(56%)となっています。この “累計で50%超えとなる内定出し開始時期” を従業員規模別にまとめると、大企業が「2024年2月」、中堅企業が「2024年3月」、中小企業が「2024年4月」と、内定出し開始時期の違いが鮮明に表れています。

[図表3]2025年卒採用の内定出し開始時期

図表3

 ところで、この内定出しの開始時期は、企業単位で見た場合にどの程度早期化しているのでしょうか。自社の2025年卒採用の内定出し開始時期を前年と比較してもらったところ、全体では「ほとんど変わらない」が圧倒的に多い78%と8割近くになります[図表4]。「遅くなる」と回答した割合はわずか1%で、残りの21%が「早まる(1カ月超または1カ月以内)」と回答しています。
 従業員規模別に見ると、「遅くなる」は中小企業にのみ見られました。「ほとんど変わらない」と回答した割合は、中堅企業が73%と最も低く、大企業は85%にも達しています。「早まる」の内訳を見ると、中堅企業では「早まる(1カ月以内)」とする企業が10%ありますが、大企業と中小企業では2~3%にとどまり、「早まる(1カ月超)」が大企業で13%、中堅企業で18%、中小企業では20%と従業員規模が小さいほど高くなっています。「1カ月以内」と少し早める程度ではなく、1カ月超も早める企業が多いのは興味深いところです。「ほとんど変わらない」と回答した企業においても、他社の動向によっては計画よりも内定出しの開始時期が早まる可能性もあり、実際に「早まる」割合はさらに高くなるものと予想されます。

[図表4]2025年卒採用の内定出し開始時期の前年比較

図表4

 「早まる」または「遅くなる」と回答した企業にその理由を聞いていますので、一部を抜粋して紹介します。

【早まる】

理系人材の早期選考を実施した(1001名以上、サービス)

世間動向に合わせる(1001名以上、メーカー)

学生との接触時期の早期化に連動して(1001名以上、メーカー)

前年の反省点として、インターンシップの実施時期と内定出しの時期の2点が遅かったことが挙げられたため、内定出し時期を早めた(301~1000名、エネルギー)

夏季インターンシップ参加者の早期面接をした(301~1000名、メーカー)

学生の動きへの対応(301~1000名、メーカー)

同業他社の内定出し早期化を踏まえ対応した(301~1000名、商社・流通)

採用活動の開始が早まったため、必然的にオファーレターも早くなる(300名以下、メーカー)

【遅くなる】

2024卒は早期に内定出しをしたが、学生からの回答が遅く、結果として採用活動の長期化を招いたため(300名以下、メーカー)

「コミュニケーション能力」と「チームで働く力」を重視

 さて、企業は新卒社員(学生)にどのような能力や思考を求めているのでしょうか。従業員規模別の違いを含めて、上位の項目を確認していきましょう。
 すべての従業員規模で圧倒的な1位は「コミュニケーション能力」であり、中小企業(69%)と大企業(79%)で約7~8割、中堅企業では90%に上ります(複数回答)[図表5]。2位もすべての従業員規模で「チームで働く力」となっており、大企業の51%をはじめ、中堅企業43%、中小企業33%と3~5割になっています。3位以下は従業員規模による違いがありますが、「自律性」は大企業で4位(23%)、中堅企業・中小企業で3位(28%・30%)と、上位2項目と同様に比較的多くの企業が注視しています。そのほか、「企業理念への共感」は大企業(3位/26%)、中堅企業(4位/23%)、「適応力」は中堅企業(4位/23%)と中小企業(4位/19%)において、2割前後の企業が求めています。

[図表5]学生に求める能力・思考(複数回答、上位8項目)

図表5

 次に、早期離職防止を意識した重視項目(上位8項目)も確認しました。その結果、すべての従業員規模で1位「コミュニケーション能力」(6割前後)、2位「チームで働く力」(4割台)と、これら2項目が3位以下を大きく引き離す結果となりました(複数回答)[図表6]。3位以下は、従業員規模による違いが見られます。
 大企業では、3位「自律性」(21%)、4位「企業理念への共感」と「前に踏み出す力」(ともに18%)がランクインしています。前記[図表5](学生に求める能力・思考)の「論理的思考力」はランク外で、代わりに「リーダーシップ」が入っています。中堅企業では、3位に「企業理念への共感」と「適応力」(ともに33%)、5位「自律性」(25%)が入り、[図表5]の「基礎的な学力」と「考え抜く力」はランク外となっています。中小企業では、3位「適応力」(27%)、4位「自律性」(25%)、5位「企業理念への共感」(20%)と続き、[図表5]の「論理的思考力」に代わり「調整力」(9%)がランクインしています。
 上位8位までを見ると、若干の順位の違いはあれ、ほぼ同じ項目が並んでいます。その中で、大企業8位の「リーダーシップ」(10%)、中堅企業7位の「目標達成指向」(10%)、中小企業8位の「調整力」(9%)は、他の従業員規模ではランクインしていない項目となっている点が特徴的です。

[図表6]入社後の早期離職防止を意識して重視する「学生の能力・思考」(複数回答、上位8項目)

図表6

2割の企業が「オヤカク」を実施

 企業に対しても内定を出した学生本人ではなく、その保護者に向けた確認作業、いわゆる「オヤカク」をどの程度実施しているのかを調べてみました。全体では、「2024年卒採用以前から行っている」と「2024年卒採用までは行っていなかったが、2025年卒採用から行う」を合わせた17%が、「2025年卒採用でオヤカクを行う」としています[図表7]。従業員規模別では意外にも、「2025年卒採用でオヤカクを行う」 割合が最も高かったのは、大企業の21%でした。大企業よりも採用に苦戦していると思われる中堅企業は13%にとどまります。大企業は内々定出しのタイミングが他の従業員規模より相対的に早いため、10月の正式内定までの期間が長く、本人だけでなく、保護者にも確認することで有効内定者数(最終的に内定承諾する可能性が高い内定者数)を確保したいという思いが強いのかもしれません。

[図表7]「オヤカク」の実施状況

図表7

 では、「オヤカク」として具体的にどんなことを実施しているのでしょうか。最も多かったのは「内定確認の連絡」で、48%とほぼ半数に上りました(複数回答)[図表8]。次いで、「保護者向け資料の送付」(32%)、「保護者向け手紙の送付」(28%)と郵送による軽めの施策が続きます。4位は「保護者向け説明会・会社見学会の実施」(24%)で、4分の1近くの企業で予定されていることが分かりました。

[図表8]「オヤカク」の内容(複数回答)

図表8

 一方、今年3月に本欄で紹介した「マイナビ 2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査」では、「保護者向け資料の送付」が8.6%、「保護者向け説明会実施の案内」はわずか2.2%と、[図表8]の企業調査とかなり異なる数値となっています。皆さんの実感値としてはどちらの結果に近いでしょうか。

中堅企業ではインターンシップ実施企業が増加

 採用担当者向け調査の最後は、2026年卒向けのインターンシップの取り組み状況です。まず実施予定を確認すると、全体では「未定」の企業が3割ありますが、「前年は実施していないが、今年は実施する」と「前年同様に実施する」を合わせた「実施する」割合が46%、「前年は実施したが、今年は実施しない」と「前年同様に実施しない」を合わせた「実施しない」が24%という結果になっています[図表9]
 従業員規模別に見ると、中堅企業の「前年は実施していないが、今年は実施する」が9%で1割近くあり、「前年同様に実施する」を合わせた「実施する」割合が63%と、大企業(同60%)を上回っています。前年同時期の調査では、中堅企業の「実施する」割合は49%と半数以下であり、14ポイントの増加となりました。中小企業は2ポイントの増加にとどまり、中堅企業での増加ぶりが際立ちます。

[図表9]2026年卒採用に向けたインターンシップの実施予定

図表9

 次に、実施するインターンシップの実施形式を見ると、全体では「すべて対面形式で実施」が46%で最多、次いで「対面形式を主軸にオンライン形式でも実施」が35%で続き、両方を合わせた “対面派” が8割以上となっています[図表10]
 従業員規模別に見ると、大企業は「対面形式を主軸にオンライン形式でも実施」が58%で最多、次いで「すべて対面形式で実施」が33%で、 “対面派” は92%と圧倒的です。中小企業は「すべて対面形式で実施」が最多で62%と6割以上となり、「対面形式を主軸にオンライン形式でも実施」(28%)を合わせた “対面派” は、大企業とほぼ同じ9割に上ります。一方で、中堅企業は “対面派” が63%と3割少なく、「オンライン形式を主軸に対面形式でも実施」が30%を占める点が他の従業員規模と異なります。

[図表10]2026年卒採用に向けたインターンシップの実施形式

図表10

 「対面形式」のインターンシップ実施割合の前年比較でも、大企業と中小企業ではすべての企業が「増加する」か「変化なし」の回答だったのに対し、中堅企業だけは「減少する」4%、「検討中」が8%となっています[図表11]。これまでと同様、中堅企業のインターンシップ実施形式は他の従業員規模と異なる傾向が続いています。

[図表11]2026年卒採用に向けインターンシップにおける「対面形式」の実施割合

図表11

6割近くが「ジョブ型」を支持

 ここからは、HR総研とみん就が共同で実施した「2025年卒学生の就職活動動向調査」の結果を見ていきます。
 まず、近年話題の「ジョブ型」雇用ですが、入社の段階での「ジョブ型採用(職種別採用)」についての賛否を聞いたところ、文系58%、理系56%と6割近くが「賛成」と回答し、「反対」は文系38%、理系39%とほぼ同程度でした[図表12]。従来の「メンバーシップ型」(≒総合職・ゼネラリスト型)と「ジョブ型」の人事制度の違いをよく理解できていないかもしれませんが、漠然と支持している様子がうかがえます。

[図表12]ジョブ型採用(職種別採用)への賛否

図表12

資料出所:HR総研✕みん就「2025年卒学生の就職活動動向調査」(2024年3月、[図表13~15]も同じ)

 次に、将来どのポジションを希望するかを見ると、「社長(起業含む)」と回答した割合は、文系・理系ともに5~6%とさほど変わりません[図表13]。しかし、同じ経営層の「取締役・執行役員」は文系の5%に対し、理系は22%と17ポイントの開きがあります。最も希望割合が高いのは、文系で27%、理系で32%と3割前後を占める「事業部長・部長」です。文系では、次いで「次長・課長」が22%、「役職には就きたくない」が21%と続きます。一方、理系は「取締役・執行役員」が2番目に多く、「次長・課長」が15%、「役職には就きたくない」も同じく15%となっており、入社前の段階から既に管理職を敬遠する層が一定数いることが分かります。
 前記[図表12]では「ジョブ型採用」に「賛成」が多かったものの、実際の「専門職」希望は文系で9%、理系ではわずか2%にとどまっています。学生は「管理職コース」「専門職コース」といった複線型人事制度になじみが薄く、「専門職」は法務、デザインなど一部の限られた職種のイメージしかないのかもしれません。

[図表13]将来、最終的に就きたいポジション

図表13

9割近い学生が初任給額を重視

 昨年来、既存社員の昇給だけでなく、新卒社員の初任給についても久しぶりに引き上げの動きが顕著になっています。初任給の引き上げが数千円レベルではなく、5万円や10万円以上に及ぶケースもあり、長年据え置きとされてきた初任給水準の実態が改めて注目されることになりました。これまで企業間の初任給差はせいぜい数万円程度でしたが、みなし残業代を含めると20万円前後の開きも出てきています。就活生も初任給関連のニュースに敏感になっていることから、初任給額をどの程度重要視しているか確認しました。
 文系では、「とても重視している」が41%と、「少し重視している」の48%を合わせた89%が「重視している」と回答しています[図表14]。理系も、「とても重視している」が34%、「少し重視している」が51%で、合わせて85%が「重視している」と回答しています。「あまり重視していない」と「全く重視していない」を合わせた「重視していない」は、文系・理系ともに7%にとどまります。この項目は今回が初めて尋ねたもので、過去データはありませんが、おそらく以前は「重視している」割合はもう少し低く、逆に「重視していない」割合はもう少し高かったのではないかと思われます。学生がこれだけ初任給を注視するようになったことで、企業側は来年度以降も初任給水準をどうするのか、慎重に検討する必要が出てきました。ただし、初任給の引き上げは新卒社員だけではなく、既存社員を含めた総人件費にも影響するため、じっくり時間をかけてシミュレーションすることが求められます。

[図表14]初任給額の重視度

図表14

 最後に、働き方改革で気になる項目を見ると、「長時間労働の是正」が55%、「フレックスタイム」が53%と、勤務時間関連が上位を占め、いずれも半数を超えています(複数回答)[図表15]。3位の「有給休暇の取得促進」も46%と5割近くあり、ワーク・ライフ・バランスを非常に重視する様子がうかがえます。フリーコメントでも、

残業の量(理系、中堅私立大)

何時に帰ることができるのか(文系、上位私立大)

残業や休日出勤の実態を知りたい(文系、その他国公立大)

有給休暇の取得のしやすさ(理系、その他国公立大)

――など勤務時間・休暇に関する声が多数あり、具体的な要望として、

プライベートとの両立(文系、上位国公立大)

ワーク・ライフ・バランス(文系、旧帝大クラス)

趣味と仕事の両立(文系、その他私立大)

――などが挙げられています。中には、

ペットが病気の際、早期退勤等ができるか(文系、中堅私立大)

社用スマートフォン等に届いたメールの処理やその時間の扱いなどについて関心がある(理系、その他国公立大)

――など、細かい点が気になる学生もいるようです。
 また、勤務時間・休暇関連以外では、「在宅勤務・サテライトオフィス勤務」(39%)、「仕事と家庭の両立支援制度」(37%)の割合が高くなっています。

[図表15]働き方改革として気になる項目(複数回答)

図表15

寺澤 康介 てらざわ こうすけ
ProFuture株式会社 代表取締役/HR総研 所長
1986年慶應義塾大学文学部卒業、文化放送ブレーンに入社。営業部長、企画制作部長などを歴任。2001年文化放送キャリアパートナーズを共同設立。2007年採用プロドットコム(ProFuture)を設立、代表取締役に就任。約25年間、大企業から中堅・中小企業まで幅広く採用コンサルティングを行ってきた経験を持つ。
著書に『みんなで変える日本の新卒採用・就職』(HRプロ)。
https://www.hrpro.co.jp/