スリール株式会社 代表取締役
A5判/272ページ/2200円+税/日本能率協会マネジメントセンター
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 2023年に有価証券報告書における人的資本の情報開示が義務化されたことで、女性活躍推進の取り組みが一層注目されるようになり、多くの企業が女性管理職比率や男性の育児休業取得率等を数値目標として掲げるようになった。しかし、 “なぜ女性管理職を増やすべきなのか” “女性活躍が組織に与える影響はどういうものか” といった、女性活躍を推し進める本来の意義を正しく理解できている企業はどれくらいあるだろうか。本書は、14年にわたって女性活躍、ダイバーシティ推進に関するコンサルティングを企業向けに行ってきた著者の経験を基に、女性活躍の意義と推進方法を、具体的な理論やデータ、実践例を交えて詳説したものである。
■ 第1部「理論編」では、人的資本経営が今の時代に求められる理由や、ダイバーシティが組織に与えるポジティブな効果、DEIを女性活躍推進から始めるメリット等を分かりやすく解説。第2部「実践編」では女性活躍推進において重要な三つの視点(経営、人事〔現場〕、社内外コミュニケーション)と七つのポイントを冒頭で提示し、各視点における取り組みの手法を詳述する。併せて自社の課題分析のためのリサーチ方法やアクションプランの作成手順を紹介するとともに、先進企業2社(日本IBM、キリンホールディングス)の事例を取り上げ、ノウハウも学べる。
■ 本書では、三つの視点のうち、「人事(現場)」での取り組みに関する手法の紹介が特に充実している。例えば、女性活躍のためのステップを「意識醸成期」「両立実践期」「活躍へのシフト期」など五つに分け、それぞれの問題点と解決策を提示。育児休業前後における面談の進め方から、女性社員および上司・管理職に対する研修例まで実にさまざまで、いずれも実践的である。人的資本経営にこれから着手する経営者や、女性活躍のための制度設計に携わる担当者にとって、大いに参考となる指南書といえるだろう。
女性活躍から始める人的資本経営 多様性を活かす組織マネジメント 内容紹介 人的資本経営、女性活躍推進・ダイバーシティ推進は、今や経営者にとって喫緊に対応しなければいけない課題となっている。 ただ、「経営者が突然、人的資本・女性活躍について叫び始めたな、どうしてだろう」そんな疑問を感じている人もいるかもしれない。 本書は、経営者から経営企画部、人事担当者まで、歴史的な背景と共に、ダイバーシティ推進の有効性、実践方法までを本質的に理解できるよう理論・実践・データの全てをまとめた1冊である。 |