社会保険労務士法人 帝王労務管理事務所 代表社員
A5判/188ページ/1800円+税/同文舘出版
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 労災保険・傷病手当金の制度は非常に複雑で、ケースによって求められる対応が異なる。しかし、「知っていて当たり前」の制度ゆえ、例えば行政がテレビCM等で積極的に告知することはない。半面、学校で教わる機会もないため、いざ申請・受給することになれば自ら調べ、知識を正しく習得しなければならないのだ。制度の理解不足のために会社も労働者も適切な需給等ができず損をしてしまう、といった事態は避けたいところである。本書は、社会保険労務士である著者の経験・ノウハウを交えつつ、労災保険と傷病手当金の基礎知識からよくある疑問まで、具体的かつ明確に解説していく。
■ 全6章の本書は、各章とも「保険料の計算方法」「傷病手当金と出産手当金の関係」など、各テーマを見開き2~4ページ程度で明瞭簡潔に解説しており、理解しやすい構成となっている。本文中に「参考」として厚生労働省や関連団体が公表しているチラシやリーフレット、詳細な情報サイトを参照できるQRコードが記載されているため、スマートフォン片手に読み進めるのもよいだろう。また、第4章では労災保険の「よくある疑問」をQ&Aとして取り上げており、「労災保険はいつまでもらえる?」といった基礎的な質問だけでなく、“受給中の退職” “うつ病、過労自殺の労災適用” “美容整形で休業する場合の傷病手当金の利用” など、対応に苦慮しがちなケースについても分かりやすく回答している。
■ 「頻繁に労災の対応をするので、制度は完璧に知り尽くしている」という人事担当者はそう多くないはずだ。むしろ「知識はあるが、いざというときに正しく申請できるか不安」というのが実際のところだろう。そんな方々に役立つのが本書だ。労働災害は、ごくまれに、しかし予期しないタイミングで起こるものである。いつ起こるか分からないそのときに備えて、知っておきたい知識が詰まった一冊といえる。
内容紹介 労災保険・傷病手当金の知識がなく、民間の損害保険で処理している企業は少なくありません。 労災保険・傷病手当金の申請実務のエキスパートが、会社も従業員も損をしない方法を教えます。 |