2024年06月25日掲載

人事労務に関わるコンプライアンス講座 - 第5回 企業内で起きる刑法犯 ~知っておきたい刑法の基本と違反類型

野村 彩 のむら あや
弁護士 和田倉門法律事務所

はじめに

 企業におけるコンプライアンス違反というと、これまで見てきた労働基準法や下請法等への抵触というイメージが強く、窃盗罪や傷害罪等のいわゆる刑法犯は、少し遠い存在のように思われるかもしれない。しかし、件数はそう多くなくても、企業内の刑法犯については人事として基本を知っておきたいところだ。今回も具体的なケースを踏まえ、企業においてどのような刑法上のコンプライアンス違反があり得るかを検討する。

ケース

A人事課長「C部長、お呼びですか」

C事業部長「Aさん、わざわざ来てもらって申し訳ない。B事業部長から、Aさんは頼りになると聞いてね。ちょっと部内で困ったことが起きたんだ」

A人事課長「恐縮です。いかがされましたか」

C事業部長「お恥ずかしい話なんだが、うちの部員が、取引先から個人的にお金を受け取ってしまったんだよ」

A人事課長「そうですか……。どういった経緯だったのでしょうか」

C事業部長「うん、去年うちの部でお客さまに配布した販促品の評判が結構良くて、今年も作ることにしたんだ。せっかくだから新しい製作業者を使おうという話になって、業者の選定を去年の販促品発注に関わっていた部下のDさんに任せたんだよ。そうしたら、今回もなかなか良さそうな業者を選んでくれて。いざ頼もうという段になったところで、Dさんがその業者から3万円を受け取っていたことが判明したんだ」【A】

A人事課長「なるほど。それは問題ですね」

C事業部長「もちろん社内処分は検討しなければならないが、それ以前の問題として、これは犯罪になると思うんだよ」

A人事課長「その3万円は、業者として当社に支払う意図でDさんに手渡したものでしょうか。つまりリベートやキックバックという趣旨で。当社としてはもちろん受領するわけにはいきませんが、仮に当社に支払おうとしたものをDさんが着服したとなると、業務上横領罪に当たる可能性はありますね」

C事業部長「ああ、その点は、あくまでDさんに “個人的に” 支払うという意図だったらしい」

A人事課長「なるほど、それでDさんも受け取ってしまったのですね。そうであれば、横領というのは難しそうですね。せいぜい背任罪でしょうか。背任罪は立証などが難しいと聞きますが……」

C事業部長「そうか。必要であれば被害届などについても法務部に確認してみるよ。いずれにせよ、Dさんの懲戒処分は検討しないといけないな」

A人事課長「そうですね。当社のコンプライアンス管理規定は、取引先から個人的に金員を受領することを明確に禁止しています。就業規則上の懲戒事由に該当するでしょう。ところで気になったのですが、Dさんは以前、C部長からご相談があった、あの件の人ではありませんか」

C事業部長「ああ、そうなんだよ……。去年の販促品を一つ無断で持ち帰って友達にあげてしまった、あのDさんなんだ。あの時は本人も反省していたし懲戒処分にはせず、厳重注意にとどめたが、法務部からは、そのような行為は窃盗罪か業務上横領罪に該当する可能性もあると言われていたんだ」【B】

A人事課長「そうでしたね……」

<ポイント>

 企業内で刑法上の犯罪に当たるような行為がなされた場合、懲戒処分を検討することは当然としても、これに加えて、被害届の提出や刑事告訴を行うか否かの判断を求められることがある。そこで本稿では、刑法の構成要件などについて検討する。まずは、企業内で起こり得る刑法上の罪について見ていこう。

<前提となる刑法の知識(違反類型等)>

主に本ケースに関わるもの

窃盗罪・横領罪
 企業の財産等を持ち帰るなどの行為は、窃盗罪、または業務上横領罪に該当する可能性がある。
 窃盗罪とは、「他人の財物」を「窃取」する罪だ(本稿に関する刑法の条文は、本稿末尾に付した[参考1]をご覧いただきたい)。一般的には万引や侵入盗などがあるが、企業における窃盗罪としては、例えば「製品・サンプルを持ち帰る」「金庫から金銭や印紙、切手などを盗み出す」「他の従業員の私物を置引する」などの態様が考えられる。
 横領罪とは、 “自己が占有する他人のもの” を「横領」する罪だ。単純横領罪ともいう。「自己が占有する」ものを取るという点で、窃盗罪とは異なる。そして「業務上」横領を行うと、業務上横領罪となり、単純横領罪よりも重い罪となる。
 「占有」とは、もの(財物)に対する事実的な支配をいう。例えば経理部の現金管理担当者は社内の職務権限上、会社の現金を管理する立場にあるため、これを支配している、つまり「占有」しているといえるだろう。これに対し、経理とは関係のない部署のアルバイト従業員であれば、これを管理する権限もなく、現金を「占有」しているとはいえない。したがって、この例でいうと、経理部の現金管理担当者が現金を盗めば「業務横領罪」、アルバイトが盗めば「窃盗罪」となる。
 なお、いわゆる「道端で拾った財布を自分のものにしてしまう」行為は、遺失物等横領罪とされる。ただ、遺失物等横領罪とは「他人の占有を離れた」ものを横領する行為であり、少なくとも会社の敷地内にあるものは、会社の「占有を離れた」とは言い難く、社内の物品や金員を持ち帰る行為が遺失物等横領罪となる場面は少ないかもしれない。

背任罪
 以上のように、企業のものを窃取等する行為は、窃盗罪や横領罪等となるが、例えば企業の顧客リストを自分の手帳に書き写し、その手書きのリストを名簿業者に売却するという行為はどう考えればよいだろうか。実は、窃盗罪や横領罪の対象となるのは、原則として物理的なものに限られ(例外的に電気窃盗というものはある)、情報そのものはこれらの罪の対象とならない。つまり、「顧客リスト」という情報だけを盗んでも、窃盗罪等にはならないのだ。そして手書きのメモ帳自体は自分のものであり、自分のものを売却する行為は窃盗罪や横領罪に該当しない。この場合、営業秘密侵害罪となる可能性はあるが、これを別にすると、刑法では背任罪に該当する可能性がある。
 背任罪とは、「他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為」をし、その結果として「本人に財産上の損害を加え」る罪だ。従業員は、基本的には「他人」つまり会社のために「その事務を処理する者」といえる。従業員が自分の利益のため、または会社に損害を与えようとして「任務に背く行為」をして会社に損害を与える行為は、広く背任罪となる。上述の顧客リストを名簿業者に売却する行為は、それが手書きのメモであっても、れっきとした「任務に背く行為」だ。
 なお、背任罪はこのように「任務に背く行為」を広く対象とするため、さまざまな非違行為がこれに含まれる。例えば、銀行の融資担当者が、担保の足りない顧客に貸し付けを行い、銀行の財産状態を悪化させる行為などがこれに当たるとされる。また、従業員が法人契約をしていたクレジットカードを私的な旅行などに利用していたとして背任罪で起訴された事件が最近も報道された。このほかに著名な事案として、自動車会社の元会長が、子会社が販売代理店に支払った会社の資金の一部を自らに還流させたとして会社法の特別背任罪で起訴されたものがある。会社法の特別背任罪とは、刑法の背任罪の特別規定である。取締役など特定の身分を有する者による背任行為は影響が大きいため、刑法の背任罪よりも重い罪となるものだ(会社法の条文は、本稿末尾に付した[参考2]をご覧いただきたい)。
 このように、背任罪は多様な行為が該当し得るため、ビジネスパーソンにとっては注意が必要な違反類型である。

その他の刑法上の罪

詐欺罪
 詐欺罪とは、相手の瑕疵(かし)ある意思に基づく交付行為を通じて財物・財産上の利益を取得し、または第三者に取得させる行為に関する罪である。要は、人をだまして財産などを取得するなどの罪だ。
 経費のごまかしは、詐欺罪に該当することが多い。例えば「業務と関係のない友人との飲み会の支払いを経費として請求する」「出張と偽って遠方への交通費を申請する」「実際に利用したよりも多くの金額を経費として請求する」などの行為は詐欺罪に該当し得る。また、通勤費の不正受給も詐欺罪に当たる可能性が高い。遠方から近隣に引っ越したことを隠す、あるいは実家から通っているように装うなどして本来の支給額よりも多額の通勤費を請求する行為は、従業員本人は罪の意識が低いことも多いが企業秩序違反行為である。

業務妨害罪など
 「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損(きそん)」する行為は信用毀損罪、同様の方法で「業務を妨害」する行為は偽計業務妨害罪とされる。「威力を用いて」人の業務を妨害する行為は威力業務妨害罪となる。偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪の違いは、業務妨害の方法だ。判例を基に検討すると、例えば “約970回の無言電話” による業務妨害は偽計業務妨害罪、“株主総会の議場で怒号する” ことによる業務妨害は威力業務妨害罪とされる。顧客による行為ではあるが、最近報道された事例として、飲食チェーン店の共用容器に直接口をつけて箸でかき込んで食べた行為について、威力業務妨害罪の有罪判決が下されたというものがある。また、昨今ではSNSでの誹謗(ひぼう)中傷行為について偽計業務妨害罪が問われた事例もある。

名誉毀損罪・侮辱罪
 名誉毀損罪とは、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損」する罪だ。「人」には法人も含まれる。「公然と」とは、不特定または多数が知り得る状態をいう。事実を摘示しなくとも、公然と人を侮辱する行為は侮辱罪となる。悪質なパワーハラスメント(以下、パワハラ)はこれらに該当することがある。例えば、不正行為が疑われる部下に対し、他の多数の従業員の面前で「お前はろくなやつじゃない。父親は詐欺罪で投獄されたらしいじゃないか」などと述べる行為は、名誉毀損罪に該当する可能性がある。また、人格否定をすることはパワハラの類型の一つだが(「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」〔令2.1.15 厚労告5〕)、例えば「ハゲ」「デブ」などの身体的な特徴についてあしざまにののしることは、パワハラに該当することに加えて侮辱罪となる可能性がある。また、SNSで上司や同僚、取引先などの悪口を書いて公開することが名誉毀損罪や侮辱罪に該当することもある。

※同告示 2(7)ロ(イ)①参照

暴行罪・傷害罪など
 暴力行為は、被害者のみならず、他の従業員に対しても恐怖を感じさせる行為であり、職場の環境に重大な悪影響を与える深刻な非違行為だ。社内での従業員同士のトラブルの結果、発生することもある。また、悪質な態様のパワハラとして問題になることもある。
 暴行罪とは、暴行、人の身体に対する有形力(物理力)を行使する罪だ。殴る・蹴るが典型だが、例えば狭い室内で日本刀を振り回す行為などもこれに該当する。他方で傷害罪とは、人の身体を傷害する行為である。
 暴力行為は暴行罪・傷害罪のいずれにも該当する可能性があるが、結果的に人を傷害した場合は傷害罪となり、それに至らない場合は暴行罪となる。傷害した結果として人を死亡させた場合は、傷害致死罪に問わる。なお、初めから殺すつもりで死亡させた場合は殺人罪となる。

脅迫罪・強要罪など
 暴力行為がなくとも、口頭で「殺すぞ」「家族がどうなるか分かってるんだろうな」「会社に来られない体にしてやろうか」「お前のやったことを言いふらして、会社にいられないようにしてもいいんだぞ」など、生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加えると脅す行為は、脅迫罪になる可能性がある。また、このような脅迫などを使って、「嫌なら○○しろ」のように何かを強制するといった行為は、さらに重い強要罪となる。
 脅迫罪もまた、悪質なパワハラとして問題になることがある。なお、いわゆる「カツアゲ」は恐喝罪となり、脅迫罪・強要罪とはまた別の罪だ。

<刑法犯と懲戒処分>

 ここまで見てきたような犯罪行為があった場合、かかる行為に対しては懲戒処分が可能なことが多い。とはいえ懲戒処分は、就業規則に定める懲戒事由に該当しなければできないため、就業規則の内容を精査し、手続きを遵守して進める必要がある。
 窃盗罪や業務上横領罪、詐欺罪等の財産犯の場合、企業秩序や企業の信用に重大な影響を与えるものであり、懲戒解雇が検討されることも多い。その際、窃取等したものの金額、回数、期間、行った従業員の地位(社内での立場、役職等)、経緯、目的、窃取等と業務の関連性などを総合的に考慮して判断する。なお、多くの裁判例等において、裁判所は金銭の業務上横領について特に厳しく、それが軽微な金額であっても、他の非違行為と比べて懲戒解雇が認められやすい傾向にある。
 暴行罪や傷害罪などの場合は、上述の財産犯とは別の視点も必要であり、最も重要な点は被害者のけが等の有無や程度だ。また、加害者と被害者の関係性(例えば、同僚同士のけんかなのか、上司から部下に対する悪質なパワハラなのか)などによっても考え方は異なる。

<刑法犯と公益通報者保護法>

 上述のとおり、悪質なパワハラが同時に名誉毀損罪、侮辱罪、暴行罪などに該当することもある。この場合、公益通報者保護法との関係に気を付けたい。
 同法上、公益通報の対象となる事実(通報対象事実)は、対象となる法律等に違反する犯罪行為または最終的に刑罰につながる行為に限定されている(2条3項)。それゆえ、ハラスメント行為が必ずしも公益通報者保護法上の通報対象事実にはならない。しかし、刑法は通報の対象となる法律であるため(公益通報者保護法 別表)、暴行罪などの刑法犯に係る行為について内部通報があった場合は、公益通報者保護法上の対応が必要となる。調査・是正対応や情報管理など、同法が求める対応を平時のうちに確認しておこう。

<刑法犯以外の犯罪>

 本稿では刑法上の犯罪について述べたが、ビジネス上、他の法律に基づく犯罪が問題になることもある。昨今は不正競争防止法上の営業秘密侵害罪が注目されているほか、不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)に基づく不正アクセス行為等に関する犯罪も無視できない。企業においては、これらの刑事犯罪についても平時から目を光らせておく必要がある。

<本ケースへの当てはめ>

【B】“去年の販促品を一つ無断で持ち帰って友達にあげてしまった” 行為について
 まず、初犯となる当該行為は、窃盗罪または横領罪に該当する可能性がある。Dさんが去年の販促品について取り扱う権限をどの程度持っていたのか、ここでは明確でないが、管理権限が認められれば、業務上横領罪、そうでなければ窃盗罪となる可能性が高い。したがって被害届や刑事告訴を行うことは可能ではある。とはいえ「販促品を一つ」とのことなので、会社にとっての財産的な損害は大きくなかったと思われる。また、「本人も反省していた」点や諸般の事情を踏まえて懲戒処分とはせず、厳重注意にとどめたとのことである。確かに上述の<刑法犯と懲戒処分>で解説した事情を踏まえて、会社としてそのような判断になることもあろう。

【A】“Dさんが販促品の製作業者から3万円を受け取っていた” 行為について
 次に、Dさんが「製作業者から3万円を受け取っていた」ことは、C事業部長もA人事課長も深刻に受け止めているようだ。この行為がどのような犯罪に当たるかについては、A人事課長の述べるとおり、取引先がどのような意図でDさんに3万円を渡したかが重要な点となる。あくまで会社に対しリベートやキックバックのような趣旨で3万円を渡したのであれば、Dさんは会社のものを窃取したことになり、窃盗罪または横領罪となるだろう。しかし本ケースでは、取引先はあくまで “個人的に” 3万円を渡したということなので、Dさんが会社のものを盗んだということにはならない。
 そこで背任罪の観点から検討する。Dさんは会社の従業員であり、会社「のためにその事務を処理する者」といえる。そして現金を受け取る行為は「自己……の利益を図……る目的」でされたと言えることが多いだろう。また、この会社では規定上「取引先から個人的に金員を受領することを明確に禁止」しているとのことなので、「任務に背く行為」もあったといえる。ただその結果、会社に「財産上の損害」を与えたか、という点は微妙なところだ。会社として明確に金銭的な損害を被ったわけではないためである。
 前述のとおり、そもそも背任罪はいわば “なんでもあり” とも取れる構成要件のため、捜査機関としては慎重な対応となることが多い。A人事課長も「背任罪は立証などが難しいと聞きます」と述べているが、明確な証拠がない場合は、被害届を提出しても、なかなか捜査機関が動かないという現実もある。
 刑法犯罪の捜査に当たっては、被疑者側の人権侵害を伴う可能性もあるため、捜査機関側が慎重な対応を取ることは望ましいことでもある。企業としては、勇み足になることのないよう留意しつつ、他方で企業内の秩序維持のために、適切かつ迅速な判断と対応が求められる。

 このように、労働関係法規だけでなく、刑法犯に係るコンプライアンス対応もおろそかにはできない。人事としては刑法の知識を持っておき、いざというときには法務部等と連携して検討・判断していきたい。

[参考1]刑法の罪名(違反類型)と条文

殺人(199条) 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
傷害(204条) 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害致死(205条) 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。
暴行(208条) 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
脅迫(222条) 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2. 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
強要(223条) 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
2. 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3. 前二項の罪の未遂は、罰する。
名誉毀損(きそん)(230条) 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
侮辱(231条 ) 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
信用毀損及び業務妨害(233条) 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
威力業務妨害(234条) 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
窃盗(235条) 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
詐欺(246条) 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
背任(247条) 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
恐喝(249条) 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2. 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
横領(252条) 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2. 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
業務上横領(253条) 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
遺失物等横領(254条) 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

[参考2]会社法の罪名(違反類型)と条文

取締役等の特別背任罪(960条) 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(中略)
3. 取締役、会計参与、監査役又は執行役
(後略)

※本連載は、【労務行政eラーニング】不正の防止・対応策を学ぶコンプライアンス講座(管理職・リーダー対象)ケースで基本を学ぶコンプライアンス講座(全従業員対象)と連携しています。連載でコンプライアンスの学び直しに興味を持たれた方は、ぜひeラーニングの利用もご検討ください。

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プロフィール写真 野村 彩 のむら あや
弁護士 和田倉門法律事務所
2001年慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2006年立教大学大学院法務研究科卒業。2007年弁護士登録。鳥飼総合法律事務所入所。2016年、和田倉門法律事務所に参画。著書・論文に「【万一の際、適切に対処したい企業リスク】ハラスメント対応~いざ起きたとき、どう動くか~」(ウィズワークス株式会社)等。