厚生労働省は、パートら短時間労働者の厚生年金加入を拡大するため、勤務先の従業員数が101人以上(10月からは51人以上)と定めている「企業規模要件」を撤廃する方針を固めた。職場の従業員数にかかわらず厚生年金に加入できるようにし、将来受け取る年金額を手厚くする狙い。対象は約130万人に上るとみられる。関係者が26日、明らかにした。
厚労省の有識者懇談会が、企業規模要件に関し「撤廃の方向で検討を進めるべきである」と明記した報告書を7月1日に取りまとめる。これを踏まえ、厚労省が施行時期を検討し、2025年通常国会に関連法改正案の提出を目指す。
現在、短時間労働者が厚生年金に加入するには、企業規模に加え(1)週の労働時間が20時間以上(2)月給8万8千円以上-といった要件を全て満たす必要がある。これらのうち企業規模の撤廃を優先する。撤廃により保険料を労使で折半することになり、新たな費用や事務負担が増えるため、中小企業への支援策も検討する。
個人事業所で働く人の厚生年金加入も推進する方針。現在は従業員5人以上の「金融・保険」など17業種に限り加入義務が生じる。これを宿泊業や飲食業にも拡大する方向で調整する。対象人数は約30万人を見込む。
厚労省は、将来の年金給付水準を点検する財政検証の結果を7月3日に公表。企業規模要件の撤廃による給付底上げ効果についても試算する。
(共同通信社)