株式会社ラントリップ 取締役
四六判/280ページ/1800円+税/日本実業出版社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ どの企業にも特有の文化があるだろう。人が集まるところに自然と生まれるのが文化であるが、企業においては戦略的な視点で捉え直してみるのもよいのではないか。企業文化はいわば会社の軸であり、事業戦略を左右するだけでなく、従業員のモチベーションを高めることにもつながる。働くことの意義が問われる現代において、従業員のモチベーションを高め、生産性を向上させることで成長を図ろうとする企業は多い。そこで注目すべきが「企業文化をデザインする」ことだと、複数社のスタートアップで企業文化・人事組織アドバイザーなどを務める筆者は主張する。
■ 本書は、強固な企業文化を「デザイン」する、すなわち企業文化を理解し社内外に浸透させることの重要性と、そのポイントについてさまざまな角度から説く。例えば、第5章では企業文化(カルチャー)をデザインし企業を強くするカギは、「採用」と「人事評価」であり、「企業カルチャーにフィットしない人物は決して採用したり高く評価してはいけない」と述べる。たとえ文化を綿密に形成したとしても、それを体現する人物がいなければ、その企業文化は薄まってしまうからだ。さらに第7章では日常業務/現場レベルでのカルチャーデザイン、第8~9章では主にリーダーシップがカルチャーデザインに与える影響について考察。企業文化のデザインを進める上でぶつかる壁や課題への対策、注意点を、具体例を引きながら紹介するなど、実践的な内容となっている。
■ 「企業文化をデザインする」と聞くと、抽象的で曖昧な取り組みのように思える。しかし本書を読み進めていくと、“企業文化を自社にとって最良のものにし続ける” ことは人材採用や従業員エンゲージメント、オンボーディングなど、昨今の人事労務課題の打開策に通じるものがあると感じられるだろう。企業を中長期的な成長に導くヒントや、人事担当者の悩みを解決するきっかけが見つかるかもしれない。
内容紹介 企業にとって経営戦略と並ぶ最重要要素の1つ「企業文化(風土)」の作り方と、組織内で浸透させる方法を教えます。 企業文化は財務諸表の数字のようにわかりやすいものではありませんが、経営者のみならず社員のモラル、モチベーション、社内の雰囲気などに直結するため、企業の成長、事業の発展には欠かせない要素です。 この本では、スマートニュースをはじめ、数々のITベンチャーのグロースにHR面で貢献してきた著者が、自らの体験や、国内外企業の事例を通して、企業文化と経営戦略との相互作用が企業の(長期的な)成長・発展・継続に大きな影響を与えることを解説。そして、具体的にどのようにして強力な企業文化を醸成・浸透したらよいのかというノウハウをお伝えします。 |