BOOK REVIEW - 『図解でわかる！　人事制度の作り方』

■ 人事制度はさまざまな要素で構成されており、複雑かつ奥深いものである。そのため、人事制度について興味を持ったとしても、“何から勉強していいのか分からない” というケースも少なくないだろう。本書は、こうした人事制度の初学者から中級者に向けて、基礎的な内容を図解で分かりやすく解説している。

■ 第1章では基礎知識として、人事制度の核となる「等級制度」「報酬（月例賃金、賞与、退職金）制度」「評価制度」の主要3制度を概観する。続く第2章では、自社制度の現状把握と課題発見を行う（診断する）ための視点を紹介。第3～6章で、等級・月例賃金・賞与・評価の各制度を作るためのフローやポイント、運用ルール等を見ていく。最終第7章では、導入・運用フェーズに言及し、制度の理解・浸透の進め方、管理職・評価者研修、導入後の定期的な点検・見直しの進め方についてアドバイスする。これらのオーソドックスな構成で人事制度について体系的に学ぶことが可能だ。また、特定の方法論に偏ることなく、可能な限りフラットな視点で複数の手法を取り上げている点が本書の特徴であり、それらを比較しながら自社にとって最適な仕組みを探すこともできる。

■ 人事制度を知る上では、等級体系や賃金表、考課表などをイメージすることのできる視覚的な情報が重要といえる。この点、本書はタイトルにもあるとおり「図解」（図表）が豊富に盛り込まれており、具体的な等級体系図や等級定義のサンプル、賃金テーブル、賞与査定配分の計算表、評価項目・評価基準の表現・記載例などが制度設計や運用の手助けとなるだろう。これから人事制度について学ぼうと考えている方や、自社の制度をより深く理解するための知識・視点を身に付けたい方、さらには自社の課題を整理し見直しに向けた検討を進めたい方に役立つ一冊といえる。