中小の企業年金制度拡充へ 一部でイデコと併用可能に

 厚生労働省は31日、中小企業向けの年金制度を拡充する案を社会保障審議会の部会に示した。個人で掛け金を拠出して運用する個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」に入っている従業員に対し、企業側が掛け金を上乗せできる制度の対象を拡大する。これまで企業年金制度を持つ場合は対象外だったが、一部で両制度の併用を認める。
 中小企業の従業員が老後の資産を形成しやすくするのが狙い。2025年の通常国会への関連法案提出を目指す。
 中小企業側が従業員の掛け金に上乗せして拠出する仕組みは「イデコプラス」と呼ばれる。自前の年金制度がなく、従業員300人以下の企業が対象。24年3月末で約7400社が行い、対象者は約4万7千人に上る。
 企業年金制度には(1)給付額があらかじめ決まっている確定給付年金(DB)(2)イデコと同様に従業員個人が運用する確定拠出年金(DC)-などがある。厚労省の案ではDBを導入している企業にイデコプラスの併用を認める。従業員の掛け金と企業側の上乗せ額の合計は、イデコと同様に「月額5千円以上1万2千円以下(12月からは2万円以下)」とする方向で検討を進める。DCとの併用はこれまで通り認めない。
 DBとDCは併用できるが、DCは社内での投資教育や商品選定などの事務負担が大きく、中小企業で取り入れやすいイデコプラスを認めるべきだとの意見が出ていた。
(共同通信社)