厚生労働省の有識者検討会は1日、顧客らが従業員に理不尽な要求をする「カスタマーハラスメント」(カスハラ)の対策強化に関する報告書をまとめた。対策を「事業主の雇用管理上の措置義務とすることが適当だ」と明記。具体策としてマニュアル整備、被害を受けた従業員への相談対応などを列挙した。
男女の賃金格差の公表を義務付ける企業の対象を現行の従業員301人以上から101人以上に広げるほか、女性の管理職比率の公表義務化も盛り込んだ。
カスハラ対策の措置義務などの詳細は今後、労使の代表を交えた労働政策審議会で協議。関連法改正案の検討を進め2025年通常国会での提出を目指す。
マニュアルには社内の対応ルールなどが盛り込まれるとみられる。カスハラの端緒となる商品や接客の問題点を把握した場合、改善して未然に防ぐのも重要だと強調した。
相談体制の整備などに取り組む企業は既に一定数あるが、23年度の厚労省調査によると「特に対応していない」とする企業は従業員千人以上で37%、99人以下では74%に及んでいる。
(共同通信社)