2024年08月09日掲載

BOOK REVIEW - 『これで採用はうまくいく ほしい人材を集める・見抜く・口説くための技術』

安藤 健、曽和利光 著
株式会社人材研究所 ディレクター、株式会社人材研究所 代表取締役社長
四六判/320ページ/1600円+税/秀和システム 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 2024年の大学生・大学院卒求人倍率は2倍近く、中途や高校卒採用では3~4倍となっている。採用担当者や経営者にとって人材採用が喫緊の課題であることは明白だが、実際は「人材供給過多時代」の価値観をアップデートできていない人が多いと著者は指摘する。本書では、1000社以上の採用活動を支援した人事コンサルタントである著者が、心理学や組織論の知見を交え、理論的・体系的に採用を成功させる術を伝授。採用に必要なのは、“ほしい人材”を「集める力」×「見抜く力」×「口説く力」であるとし、特に「口説く力」、すなわち狙った人材の志望度を高め、入社を決めてもらう力について紙幅を割いている。

■ 全11章で構成される本書で、この「口説く」ための基本とステップ、テクニックを詳説しているのが第5~9章だ。第5章ではまず、採用候補者を口説くための大原則を押さえている。「口説く」とは、決して手八丁口八丁で相手の意思を無理に変えることではなく、さまざまな情報提供により自社の魅力を伝え、候補者の意思決定をサポートすることだと著者は強調する。また、口説きのステップには、①信頼関係構築、②情報収集、③説得勧誘の三つがあるとし、6~8章で各ステップの具体的な進め方について掘り下げる。さらに第9章では、少しでも楽に、かつ効果的に口説けるようになるテクニックとして、候補者の適切なフォローの仕方や社内の協力体制、内定出しにおける場づくり・タイミングなど、七つのポイントをレクチャーする。

■ この採用難時代を乗り越え、自社をさらなる成長に導くためには、企業側が人材採用の認識を改める必要がある。本書は、採用のテクニックだけでなく、採用担当者の心構えにも鋭く切り込む内容だ。この一冊が、自社の採用の在り方を見直すきっかけになるかもしれない。

これで採用はうまくいく ほしい人材を集める・見抜く・口説くための技術

内容紹介
1000社以上の採用支援実績を誇る人事コンサルタントが教える
「集める」「見抜く」「口説く」ための「攻めの採用術」を大公開!

「どんなに頑張っても、わが社には優秀な人材がぜんぜん来てくれない」
「理想の人材を見つけ、一生懸命口説いても、結局逃げられてしまう」
──ご存じの通り、今の日本は未曽有の採用難時代。
企業側にとって、採用市場はいまや「椅子取りゲーム」です。

本書は、採用の厳しさを理解しつつもパラダイムシフトできていない会社が、自社よりも採用ブランド力や知名度がずっと高い競合他社に勝つにはどうすればいいのか、「ジャイアント・キリング」「下剋上」を達成する手法が書かれています。

その手法とは、目の前にいる候補者に全精力を傾けて、必要な情報を提供し、「この会社に入社しよう」という入社動機を採用担当者と一緒に醸成する。
そう、「口説く力」を高めることこそが、労力や費用や知名度に限界のある企業が採用上でできる最後の(とりで)なのです。

「採用に悩む」企業必読の1冊です。