障害者が働きながら技術や知識を身に付ける就労事業所が今年3~7月に全国で329カ所閉鎖され、働いていた障害者少なくとも約5千人が解雇や退職となったことが13日、共同通信の全国自治体調査で分かった。障害者の年間解雇者数の過去最多記録は約4千人。退職者を含むものの、わずか5カ月でかつてない規模になっている。
公費に依存した就労事業所の経営改善を促すため、国が収支の悪い事業所の報酬引き下げを2月に発表、4月に実施したことが主な要因。選別の結果といえるが、利用者への通告が直前だった例もあり、動揺が広がっている。閉鎖は今後も増えそうで、自治体やハローワークなどの丁寧な支援が求められる。
閉鎖が相次いでいるのは「就労継続支援A型事業所」。障害者と雇用契約を結び、最低賃金以上を支払った上で生産活動や職業訓練をする。全国に約4600カ所あり、精神、知的障害者を中心に8万人強が働いている。
調査は7月に都道府県、政令指定都市、中核市の計129自治体に実施。全てから回答を得た。
A型事業所が閉鎖(廃止)されると利用者は原則、解雇となるが、自主退職などの例もあるとみられる。事業所が各自治体に廃止届を出した時点の利用者数から解雇・退職者数を集計すると、4995人だった。人数を把握していない自治体があるほか、事業縮小に伴う解雇・退職は調査していないため、実際にはもっと多いとみられる。
閉鎖329カ所のうち4割強は、最低賃金が適用されないB型事業所に移行。この場合も利用者はA型を解雇や退職となるが、B型で働き続けることはできる。ただ、収入は減る可能性がある。
そのほかの人たちは別の事業者のA型・B型に移るといった道があるが、行き先が見つかっていない人もいそうだ。
解雇・退職の人数を自治体別に見ると、最も多いのは大阪市の471人(閉鎖32カ所)。三重県290人(同10カ所)、名古屋市272人(同18カ所)などと続いた。休止した事業所も全国で計32カ所あった。
厚生労働省によると、データがある1999年度以降で障害者の年間解雇数(企業なども含む)が最も多かったのは、2001年度の4017人だった。
(共同通信社)