グロービス経営大学院教授
四六判/288ページ/1600円+税/かんき出版
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 優しさ・思いやり(コンパッション)を自分に向ける「セルフ・コンパッション」の実践により、心身が整い、仕事もプライベートも充実した生活が送れることが心理学の研究で明らかになっている。著者は、ビジネスパーソンが自己批判のループから抜け出し、自分が活躍できる環境を主体的に整えるためにはセルフ・コンパッションが重要であると強調する。特にリーダーが実行することで、組織のパフォーマンス向上につながると説く。
■ セルフ・コンパッションとは、「マインドフルネス」「共通の人間性」「自分へのやさしさ」の三つを特徴に持ち、大切な他者に対して行うように、自分自身にこれらを向けることである。本書では、リーダーにセルフ・コンパッションが必要な理由や実践方法について、考えを深めるエクササイズを示しながら解説する。特に、つらい気持ちとの付き合い方を紹介する第1章は、セルフ・コンパッションを理解する上での基礎となる。さらに、共感や傾聴を求められるリーダーが陥りがちな疲弊を「コラボ疲れ」と指摘し、疲れ切らずに健全な協力関係を実現するための考え方を示す第5章にも注目したい。
■ 日々厳しい局面に立ち向かうビジネスパーソンにとって、自分に優しくすることは難しいと感じるかもしれない。しかし、「自然にメンバーがついてくる」(第2章)、「やる気が上がって力強さが湧いてくる」(第3章)、「自分らしさを発揮する」(第4章)といったリーダーにとって理想的な状態と、セルフ・コンパッションの間には深い関係があることが、本書を通じて理解できるだろう。
内容紹介 今、リーダーの置かれている状況は過酷です。 さまざまな課題を抱え、経営陣とメンバーの間に挟まれて、苦労が絶えないリーダーたち。 こうした状況を打開する新しいスキルが、セルフ・コンパッションです。 |