2024年08月23日掲載

BOOK REVIEW - 『「ハラスメント」の解剖図鑑』

宮本剛志 著
株式会社メンタル・リンク代表取締役社長、公認心理師 
A5判/160ページ/1600円+税/誠文堂新光社 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ 2022年4月に中小企業でもパワハラ防止対策を実施することが義務づけられたことにより、ハラスメントへの問題意識はますます高まっている。対策として研修を実施する企業は多いが、ハラスメントへの理解促進のため、よく極端な例が持ち出されるため、受講者が “自分の言動が該当するかもしれない” という自覚を持てていないと著者は指摘する。本書では職場で起こるハラスメントについて、読者が想像しやすい身近な例を挙げ、何がいけないのか、なぜダメなのか、その境界線と根拠、対応策を解説する。

■ 第1章では「基本のハラスメント」として、パワーハラスメントやセクシュアルハラスメントを詳説。パワハラの法律上の定義を説明し、指導とハラスメントの線引きを明確にする。第2章では介護・看護をする社員に対するケアハラスメントや、性別に基づいたジェンダーハラスメントなどの「多様性時代のハラスメント」、第3章では「職場のあるあるハラスメント」と題し、不機嫌ハラスメントや時短ハラスメントなど、盲点だが起こりがちな例を紹介。第4章では「油断できないハラスメント」としてリモートハラスメントや、昨今取り沙汰されるカスタマーハラスメントなどを取り上げる。

■ 著者自身も企業で管理職を務めた経験があり、自分の言動が部下にハラスメントだと捉えられるのではないかとコミュニケーションに神経を使っていたという。社員一人ひとりがハラスメントを正しく理解することは、職場からハラスメントをなくすことだけでなく、管理職の安心にもつながる。本書では、イラストを多用して48種に及ぶハラスメントを紹介するとともに、その行為が問題となる根拠や改善策を明示しているため、ハラスメント防止研修や事後対応の検討の際にも役立つだろう。

「ハラスメント」の解剖図鑑

内容紹介
ハラスメントを「しない」「させない」を徹底するための、リアルな実例と対処法

「女性ならではの視点だ」
「妊娠中だから無理しないで」
「ウェブ会議は画面オンにして」……
それ今、不適切です!

2022年4月に中小企業でもパワハラ防止対策を実施することが義務付けられました(大企業は2020年から)。
職場でも、ハラスメントはパワハラだけでなく、マタハラ、セクハラ、モラハラ、アルコールハラスメントなど、多岐に渡ることが周知されてきています。
それにも関わらず、労働局などに寄せられる労働相談のトップはいまだに「いじめ、嫌がらせ」で、大企業では法律施行後も年間1万8千件以上のパワハラ相談が寄せられています。
研修などで社員教育を進める企業も多くありますが、担当者でさえ、「何がハラスメントにあたるのか」「どうしたら防げるのか」を理解していない場合が多いのが実情です。

本書は、企業や官公庁、学校にて年間150回程度のセミナーを行い、年間300人以上から個別の相談を受け、さまざまなハラスメントを解決に導いてきた著者が、職場で起きやすい全48種のハラスメントを解説します。