一般社団法人日本経営心理士協会 代表理事
四六判/282ページ/1800円+税/東洋経済新報社
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ 人手不足に頭を悩ます企業では、離職防止が喫緊の課題となっている。上司には、部下の離職を防ぎ、一人前に育てて会社の成長につなげることが求められるが、離職を決意した部下の反応や離職理由に戸惑い、対処に苦慮しているとの声が後を絶たない。本書は、部下に離職を決意させる心理的要因の理解をテーマに、部下が上司や会社に抱くニーズへの対応方法を解説し、現場での実例を踏まえながら離職防止策を体系的に伝える。
■ 冒頭には「離職の心理と対応」の体系図があり、その中の「生存欲求」「関係欲求」「成長欲求」「公欲」を、離職を決意する心理的要因と定義する。第1章では、離職が企業に与える影響や、上記の四つの欲求と離職との関係性を概説し、第2~5章で各欲求の特徴、離職との関係性や対処方法について詳説。第2章では給料、残業や休日出勤などの労働環境、第3章では人間関係……といった具合に、一般的に離職の要因として挙げられる多くの事柄を分類し、現場で起こりがちな事案をケーススタディー形式で取り上げ、発生の要因や理想的な対応策などを教示する。
■ 第6章では部下を年代別、意欲・能力別に9タイプに分類し、それぞれの離職の要因と対応を解説。第7章では離職防止のために会社に求められる対応について指南する。経営心理士の資格を有する著者は、多様化する離職理由の背景にある心理的要因を、さまざまな観点から現場レベルで分析しており、本書で提示された対応のノウハウはすぐに実務に生かせるものも多い。部下の離職に関する “なぜ” を理解しながら、第8章「部下と向き合う前に自分と向き合う」まで読み終えれば、離職を防ぎ、人を根付かせ、育てるための取り組みに、従来以上に注力していけるはずだ。
離職防止の教科書 いま部下が辞めたらヤバいかも…と一度でも思ったら読む 人手不足対策の決定版 内容紹介 採用を強化しても、業務を効率化しても、離職率が高いままでは、いつまで経っても人手不足は解消しません。 どんな組織でもすぐ活用できる!~本書の特徴 2.離職の心理を4種に体系化 3.部下を9種にタイプ分け |