2024年09月27日掲載

BOOK REVIEW - 『人・場・組織を回す力』

楠本和矢 著
株式会社grament 代表 
四六判/184ページ/1580円+税/クロスメディア・パブリッシング 

BOOK REVIEW  ―人事パーソンへオススメの新刊

■ ビジネスシーンにおいて、リーダーシップを発揮したいと考えたことはないだろうか。事業変革をテーマとしたコンサルティングなどを手掛ける著者は、これからのリーダーに求められるのは「人・場・組織を回す力」であるとし、その技法やノウハウをイラストを交え紹介している。①人を回す力は「相手との何気ないやりとりを通じ、徐々に好意を集めていく力」、②場を回す力は「メンバーとのやりとりを通じ、その場を愉快なものにしていく力」、③組織を回す力は「そのコミュニティを裏方で支え、さらに活性化させていく力」と定義。会議や商談だけでなく、同僚・上司・部下などとの日常のコミュニケーションが求められる場面で、円滑に物事を進めるスキルやコツを解説していく。

■ 実践を目的とした「手引き本」である本書は、難易度順に技法を紹介している。Lev.1「常にポジ姿勢」とLev.2「積極リスペクト」では、ポジティブな返答や会話の中で尊敬の念や感謝を伝える方法を紹介し、良好な人間関係の構築を目指す。Lev.3「+αの反応」およびLev.4「話のパス回し」では、場を盛り上げるための突っ込みや提供する話題を伝授。Lev.5「散らかりの収拾」とLev.6「前向きな提案者」では、コミュニティの活性化を図るために必要なリーダーシップを磨く。このように段階を踏み、一つずつ実践していくことで徐々に「回せる人」に近づいていく。

■ よく起こりがちな場面を想定し、その場に適した、あるいはさらなる活性化を見込めるコミュニケーションを提案している本書。ビジネスシーンにとどまらず、人との関わりは精神的な豊かさであり、人を動かす力は社会を生き抜く力になると著者は述べる。「この人といたら、何となく楽しい」「この人のおかげで、組織が活き活きしている」と思われることは、ビジネスパーソンとして成功するだけでなく、一人の人間として、得られるものも多いに違いない。

人・場・組織を回す力

内容紹介
新しいリーダーの力、それは「人・場・組織を回す力」

本書で得られるものとは、自然体で相手の心をつかみ、メンバーがいる場を愉快なものとし、そして豊かなコミュニティにしていくという、まさにこれからの時代を生きる、新しいリーダーに必須となるスキルです。職場や日常の関係の中で、周りから「いてもいなくても、どうでもいい」と思われるのはつらいものです。せっかくなら「この人には、いつもいてほしい」と思われ、できれば周りから尊敬もされたいですよね。

ただ強引な進め方をしたり、ぐいぐい前に出て目立とうとしたりしてまで、人に受け入れられようとは思わない、もっと自然体でいたい、と考える方も多いでしょう。それで問題ありませんし、著者の楠本和矢氏もそうだといいます。ただ、人から全く認められなくてもいいとも思わないでしょう。そういう「前に出る型」のアピールではなく、無理せず一歩下がったところからのコミュニケーションを通じて、

「この人といたら、何となく気持ちいい」
「この人がいたら、場が楽しくなる」
「この人のおかげで、組織が活き活きしている」

そんな風に周りから思われる方法や、リーダーシップの方法があります。
それが、本書でご紹介する「人・場・組織を回す力」です。

①人を回す力……相手との何気ないやりとりを通じ、徐々に好意を集めていく力
②場を回す力……メンバーとのやりとりを通じ、その場を愉快なものにしていく力
③組織を回す力…そのコミュニティを裏方で支え、さらに活性化させていく力

最初から全部をやる必要もありません。誰にでも簡単にできるコツから、やや高度なスキルまであり、ちょっとずつ、段階的に進めていけるようになっています。つまみぐいでも問題ありません。60点くらいを目指せば充分です。本書をきっかけに仕事、人間関係、そして人生をさらにいいものにする方法をぜひつかんでもらえるよう願っております。