法政大学大学院政策創造研究科教授、早稲田大学グルーバルエデュケーションセンター講師、
A5判/240ページ/2600円+税/千倉書房
BOOK REVIEW ―人事パーソンへオススメの新刊
■ キャリアブレイクとは「今まで中心的に活動してきたキャリアの役割を手放すことによって、新しいキャリアの役割に向けて自分と社会を見つめなおしている期間」と、本書にて “新定義” している。ここでいうキャリアとは、「ワークキャリアを包含する、仕事に限定されない人生全体を射程とするライフキャリア」を前提としている。単に仕事を休んだり辞めたりすることではなく、キャリアを手放したという実感とともに自分を見つめなおす機会を設けることだといえる。本書では、著者らの経験を交えつつ、キャリアブレイクについて解説し、その文化を紹介している。
■ 第1・2章ではキャリアブレイクの定義や背景を説明する。リカレント教育やサバティカル休暇等を例に挙げ、それらとの相違点から解説。また、日本的雇用の特徴から日本社会において空白期間が受け入れられにくい背景を考察している。第3・4章ではそれぞれ著者の実体験を語っており、第3章ではキャリアブレイクを研究するに至った背景を、第4章では「キャリアブレイク研究所」の誕生と運営からみえてきたことを紹介する。第5章では複数事例から各人の葛藤や自分を見つめなおすプロセスを通じ、キャリアブレイクへの理解を深める。第6章では著者3名による対談で、今後の展望に言及している。
■ 最近ではメディア等で取り上げられることも多いが、著者が「キャリアブレイク」と出合った10年前にはそうした概念を知っている人はほとんどいなかった。この変化は、日本社会において「手放すこと」の価値に共感する人が増えたからではないかと著者は述べる。日々、多くの働く人と関わる人事担当者としても、キャリアを歩む当事者としても、学術的に分析された本書によって視野が広がり、新しい価値に気づくきっかけとなるかもしれない。
内容紹介 離職休職の期間は、人生を不利にするブランク期間と呼ばれていた。 世界では一般的であるキャリアブレイクとはなにか。 【目次】 |